(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/11/16)
  • 2016年6月に米国ペンシルベニア大学の「CRISPR/Cas9技術によるがん免疫療法のファースト・イン・ヒューマン」申請がNIH組換えDNA諮問委員会の承認を得た時点で、四川大学華西医院(成都市)のLu Youらが先んじることが予想されていたところ(2016/7/25 ニュースウオッチ記事「CRISPRニュース:ファースト・イン・チャイナ」参照)、その予想は2016年10月28日に現実になった。
  • Lu等は、転移性の非小細胞肺癌患者由来の細胞のPD−1をノックアウトし、培養・増殖し、患者に戻した。今後、当該患者への2回目の投与、および、計10名のコホートに、2回、3回、または4回投与し、6ヶ月をかけて安全性を評価し、さらに、長期間、治療効果を評価していく予定である。
  • Lu等は8月に治験を開始することを予定していたが、PD-1ノックアウト細胞の培養・増殖に想定より長い日数を要し、10月開始に至った。米国コロンビア大学のNaiyer RizviNature ニュースにて、CRISPR遺伝子治療の威力を認める一方で、スケーラビリティーの観点から、PD-1を標的とする抗体療法に対するCRISPR遺伝子治療の臨床応用の場での優位性に疑問を呈している。
  • ペンシルベニア大学は、2017年早々にCRISPR遺伝子治療の治験を開始できることを期待している。また、北京大学は、膀胱癌、前立腺癌および腎細胞癌のCRISPR遺伝子治療の治験を計画している(まだ認可されていない)。