(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/11/22)
- [論文] クオラムセンシング(quorum sensing; QS)が多重なCRISPR/Casシステムの調節を介して獲得免疫反応を制御する
- Corresponding author: Peter C. Fineran (U. Otago, New Zealand)
- バクテリア集団の細胞密度は通常高く、形質転換や接合を介したウイルスの侵入や遺伝子の水平移動を受け易くなっている。多くのバクテリアはこうした現象に対して、CRISPR/Casシステムによって応答する。バクテリア集団はまた、細胞密度の上昇に対して、二次代謝産物(化合物)を介したクオラムセンシングと呼ばれる細胞間シグナル伝達を活性化して、応答する。
- 著者らは今回、セラチア菌(Serrate )のタイプI-E、タイプI-F、ならびにタイプIII-Aの3種類の CRISPR/Casシステムの発現が、細胞密度が高い状況においてQSを介して、亢進することを見出した。
- セラチア菌はN-acyl homoserine lactone (AHL)を細胞間シグナル伝達分子とし、細胞密度が高くなるとAHL量が増加するが、AHLは、転写抑制因子smaRに結合してそのDNA結合活性を阻害することで、遺伝子の転写、ひいてはCRISPR/Casシステム、を活性化する(参考図参照)。

- バクテリアは、高密度状態においてはQSを介して集団としての免疫応答と、CRISPR/Cas活性のコストのバランスを取っていることが示唆された。
- [注] 関連記事:創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ関連記事 CRISPR関連文献メモ_2016/11/21 2. [論文] クオラムセンシングに依存するCRISPR/Casシステム活性化機構から新たな感染症対策へ ;Science ニュース"Crowd-sourced CRISPR-Cas responses"
- [論文] CRISPR/Cas9システムをコア-シェル構造の人工ウイルスで送達する
- Corresponding authors: Shaohua Yao; Changyang Gong; Yuquan Wei (State Key Laboratory of Biotherapy and Cancer Center, Sichuan U.)
- [人工ウイルスの構成と動態]
- コア:フッ素化ポリマーPF33とCRISPR/Cas9システムの二量体が集合したナノ粒子(具体的には、ヒトMTH1遺伝子を標的とするPF33/Cas9-hMTH1のナノ粒子)
- シェル:ヒアルロン酸(hyaluronan; HA)ポリマーを、PEG側鎖とR8-RGDタンデムペプチドで修飾したRGD-R8-PEG-HA(RRPH)。RRPHは種々の細胞型に対して高い浸透性を有し、核移行シグナルペプチドを不要とする。
- 負電荷を帯びたシェルがコアの陽電荷を中和することで、生理的条件下でのコアの非選択的結合を防止する。また、HAは種々の癌細胞で過剰発現しているCD44に特異的に結合し、細胞内に侵入後、ヒアルロニダーゼ(HAase)によって部分的に分解されることで、コアが露出する。
- ヒト卵巣腺腫由来のSKOV細胞株in vitro、SKOV細胞株を移植したマウスin vivo、および患者由来組織において、RRPH人工ウイルスの効果を確認。SuperFect、Lipofectamine 2000、ならびにLipofectamine 3000よりも高効率。
- [レビュー] マウスやヒトのゲノムを操作するCRISPR技術の最新動向
- Corresponding author: David R. Liu (Harvard U./Broad Inst.)
- 内在性の相同組換え修復機構の発見からCRISPR/Cas9の発見までのサマリー;CRISPRヌクレアーゼ(CaS9ホモログ11種)のサマリー;標的DNAへの特異性向上の戦略(tru-gRNA;HFCas9/eCas9;Cpf1;Cas9ニッカーゼ;dCas9;Cas9-FRB;Inactive intein-Cas9);精密なアレル/1塩基置換の戦略(例 NHEJの抑制);エピゲノム編集;CRISPR/Casシステムの送達法
- CRISPRゲノム編集技術の応用:ヒト初代細胞;ヒト疾患モデル動物;ハイスループット・スクリーニング;遺伝子ドライブ
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