(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/11/28)
- Corresponding authors: Joost Schymkowitz; Frederic Rousseau (VIB Switch Lab./KU Leuven)
- タンパク質のほとんどにアミロイド(amyloid)形成能を備えたセグメントが存在するが、そのアミロイド形成が疾患に関与することが知られているタンパク質は30種類にすぎない。また、アミロイドが疾患を誘導する機構も定かではない。著者らは今回、凝集体が見られずアミロイドーシスを発症しない血管内皮細胞増殖因子受容体(vascular endothelial growth factor receptor 2; VEGFR2)をモデルとして、アミロイド凝集が毒性・タンパク質機能喪失をもたらす機構の解明を試みた。
- TANGOアルゴリズムによって凝集形成傾向が強い短い配列セグメント(segments)を推定し、このセグメントに荷電残基を付加し短いペプチドのリンカーで連結したタンデムリピートのγペプチド群を合成した。機能喪失実験の結果、VEGFR2を強力に阻害するペプチドを同定し、“vascin”と命名した。
- Vascinは、β構造の小型のオリゴマー(二量体〜九量体)を形成し、細胞培養液に加えると細胞に吸収され、細胞内で相互作用・凝集し、VEGFR2を一部分解したが、vascin凝集は既知の疾患関連アミロイド凝集体は形成しなかった。また、vascinオリゴマーは、関連するEGF受容体の機能または他の受容体の表面拡散に影響を与えなかったが、VEGFR2の機能に依存する細胞に限って毒性を示した。
- Vascinはin vivo でも活性であり、マウス腫瘍モデルにおいて、VEGFR2依存性の腫瘍増殖を阻害した。
- Vascin凝集の毒性は、VEGFR2の機能喪失が原因であり、vascin凝集またはvascinを介したVEGFR2の凝集そのものが原因ではないことが示唆された。
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