(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/12/01)
- Corresponding author: Bing Zhang (Vanderbilt U. Medical Center/Baylor College of Medicine)
- 共発現しているmRNAsの遺伝子産物の機能は類似しているといういわゆる“guilt-by-association” (GBA)の仮説に基づく遺伝子機能解析が広く行われてきたところ、近年の質量分析法の進歩により、GBA仮説のもとにタンパク質の共発現データから遺伝子機能を推定することも可能になってきた。
- 研究チームは今回、The Cancer Genome Atlas (TCGA)とClinical Proteomic Tumor Analysis Consortium (CPTAC)のデータベースから、乳癌、大腸癌および子宮癌の3種類の癌細胞におけるトランスクリプトームとプロテオームのデータを抽出し、Gene Ontology解析とKEGGパスウエイ解析を行った。
- タンパク質の共発現は、主として、共発現遺伝子の間の機能類似性に対応していたが、mRNAの共発現は、機能の類似性と染色体上共局在の双方に依存していた。
- mRNAの共発現ネットワーク解析にタンパク質の共発現ネットワーク解析を加えることで、機能予測精度が向上し、転写後調節が遺伝子の機能に大きな影響を与えることが示唆された。コピー数変異の頻度が高い子宮癌において特に、プロテオミクス共発現ネットワークが機能予測の精度を向上させた。
- 研究チームが今回の3種類の癌細胞のデータセットに基づいて開発したGene2Netアプリケーションによって、遺伝子と機能の新たな関係を同定:乳癌におけるERBB2(HER2)と脂質生合成過程の機能;PLGの補体活性化の機能;AEBP1の上皮間葉転換マーカーとしての機能
- Gene2Net Webサイト:Sudying gene functions through protein co-expression networks
- 創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ関連記事 2016/02/16 「細胞内のタンパク質の量は、mRNAレベルで調節されるのか、タンパク質の合成・分解レベルで調節されるのか、それが問題だ」
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