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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/12/16)
  1. [レビュー] CRISPR PAMを極める
    • Corresponding author: Chase L. Beisel (North Carolina State U.)
    • Casエフェクタータンパク質は極めて多様であるが、gRNAと標的配列との相補性と標的に隣接するPAMを手掛かりとする標的認識機構は共通である。本レビューはPAMの理解から応用までを対象とした。
    • CRISPR/Casの獲得免疫機構とクラス/タイプ/サブタイプ
    • PAMの機能の共通性と構造(位置・方向・配列・プロトスペーサーとのリンカーの長さ)の多様性
    • PAM同定法の比較:プロトスペーサーを同定しその隣接配列の多重整列からのin silico 推定;標的配列に隣接して導入したプラスミドの欠損からの推定(in vivo);Casを利用したDNA劈開からの推定(in vitro);dCasを利用したDNA結合からの推定(in vivo
    • 複数のPAM推定結果の表示法(情報量と分かりやすさのバランス):シーケンスロゴ;PAMテーブル(コドンテーブル表示に類似);PAM wheel(Kronaプロット由来)
    • PAMの加工:Casエフェクタータンパク質とスペーサー獲得に関与するCasタンパク質の改変によるPAMの拡張(PAM配列の多様化)
    • 展望:CRISPR/Casシステムのより幅広いサブタイプのCasとPAMの解析;PAMsのハイスループット同定;PAMとプロトスペーサーの相互依存性の解明;PAM同定法の選択;CasとPAMの改変
  2. [論文] CRISPR/Cas9活性の天然オフ・スイッチ
    • Corresponding authors: Erik J. Sontheimer (U. Massachusetts Medical School); Karen L. Maxwell (U. Toronto); Alan R. Davidson (U. Toronto)
    • Cas9を空間的、時間的あるいは、なんらかのシグナルに応じて不活性化するスイッチは、CRISPR/Cas9技術の可能性を大きく広げることが可能になる。例えば、特定の組織、細胞周期、発生段階に特異的な遺伝子編集、あるいは薬剤などの刺激に応じた遺伝子編集、さらには遺伝子ドライブの安全装置として利用可能である。
    • 著者らは先行研究(Bondy-Denomy et al., 2013Pawluk et al., 2014)で、バクテリオファージのタンパク質から宿主バクテリアのCRISPR/Casシステムを阻害するタンパク質を同定していた。これら“anti-CRISPRs”は、Cas9エフェクタータンパク質が関与しないタイプI CRISPR/Casシステムに特異的であったが、Cas9のオフ・スイッチの存在を想定していた。
    • 研究チームは今回、髄膜炎菌Neisseria meningitidis のCRISPR/Cas9システムを特異的に阻害する3種類のanti-CRISPRsファミリーをBrackiella oedipodis から発見した。これらのうち1種類AcrIICNmeは、ヒト細胞株において、N. meningitidis (NmeCas9) に直接結合し、DNA劈開を阻害することが明らかになった。
    • ビデオアブストラクト(3min36sec):YouTube 2016/12/09
  3. [特許] METHODS FOR SCREENING BACTERIA, ARCHAEA, ALGAE, AND YEAST USING CRISPR NUCLEIC ACIDS
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