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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] "5 questions about LOCKR from our Reddit AMA" Institute for Protein Design (IPD) 2019-08-05.

 RedditのAMA "Ask Me Anything about LOCKR"に参加したBobby Langan (UW), Andrew Ng (UCSF)ならびにHana El-Samad (UCSF)が、時間切れになるまで続いた質問の中から5人の質問を選びIPDのWebサイトにて公開した。
[Q1] LOCKRという'クール'な命名はどこから? 偶然ですか?
 Scott E. Boyken (UW)と1週間ほどあれこれ試し、彼がLOCKを思いつき、私 (Bobby Langan)が、最近のトレンド (CRISPR, tumblr, flickr, grindrなど)もありpRoteinのRを加えてLOCKRになりました。

[Q2]  発想はどこから? LOCKRは副作用を伴うのか? 例示された外傷性脳損傷の急性炎症への適用の他に、自己免疫疾患に見られる慢性炎症にも適用可能か?
[Q3] 商品化の予定は?
  • 商品化に向けた研究は始まっていますが、ヒト疾患に適用可能になるまでには、他の創薬と同様に長い年月 (many years)がかかります。
[Q4] オフターゲット結合のリスクは? LOCKRをオンにする"key"タンパク質は内在性である必要があるのか、医薬品でオンにすることは可能か?
  • 細胞は、すべてが渾然一体となったブリートのようなものなので、オフターゲット相互作用のリスクは常に内在していますが、完全な人工物であるLOCKRは、天然に存在するタンパク質を改変した人工タンパク質よりもそのリスクは小さいと想定します。
  • 現行LOCKRの"key"は、設計した人工タンパク質ですが、内在タンパク質や外因性低分子を"key"とするLOCKRの開発に関心が集まっています。
[Q5] いつか世界を変えたいと思っている学部生へのアドバイスは? 人工膝関節置換手術後の腫れや慢性炎症の予防や治療に使えるか? 臓器移植後の免疫抑制に使えるか?
  • 世界を変えるパッションを持ち続けよ、理工学 (science and engineering)を追い求めよ、積極的に研究に取り組め。
  • 人工膝関節置換手術にしても臓器移植にしても、細胞療法 (細胞を取り出し、LOCKRを埋め込み、戻す)を介して十分適用可能と信じています。細胞療法が安定した効用を安全に発揮するために、細胞が"smart"である必要があります (細胞内の微小環境を検知し応答する機能を備えている必要があります)。この課題こそ、LOCKRとその他の合成タンパク質および合成生物学の出番です
  • ところで、LOCKRを組み込んだ細胞は、"仕事が終われば"自ら失活することから、ゲノム改変とは異なり、むしろ、"smart pill"に相当します。
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