[出典] "A robotic platform for flow synthesis of organic compounds informed by AI planning" Coley CW, Thomas III DA, Lummiss JAM [..] Jamison TF, Jensen KF. Science. 2019 Aug 9;365(6453) ; NEWS "Guided by AI, robotic platform automates molecule manufacture - New system could free bench chemists from time-consuming tasks, may help inspire new molecules" Ham B. MIT News. 2019-08-08.
背景
- 化学合成は一般的に、反応条件を、手間のかかる果てしないトライアルアンドエラーを経て最適化する必要がある。MITのJamisonとJensenらは先行研究で、ハードウエア、ソフトウエアおよび分析装置を統合したプラグアンドプレイで作動可能な連続フロー合成システムを開発し、この過程の自動化を試み、成果を2018年にScience誌 [1]に発表した。
- このシステムでは、ソフトウエアが、利用者が選択した試薬、ユニット操作 (反応器と分離器)、および分析装置 (HPLC、MS、赤外分光計)を制御し、自動最適化を実行する。利用者はGUIを介して、最適化を始動したのち、進行を遠隔監視し、結果を分析し、成功例をシステムに記録し、再利用可能とする。
- なお、JamisonとJensenは、2017年Science論文に先立ち、2016年にオンデマンド・連続フロー生産装置をScience誌に発表している [2]。
成果
- JamisonとJensenらは今回、「Reaxysと米国特許商標庁 (USTPO)のデータベースから入手可能な数百万の化学反応によって学習させたAI (ニューラルネットワーク) が提案する(computer-aided synthesis planning: CASP)反応経路を 、専門家がより精緻かつ連続フロー合成に適合する化学合成のレシピ (chemical recipe files: CPFs)へと仕上げ、CPFを受けてロボットが反応器と分離器を配置し試薬ラインおよび動力ポンプと流体スイッチボードで連結し合成を実行し、合成が終了すると機器を洗浄し、連結を外して、次の化学合成に備える」という先行研究から完全自動化学合成により一歩近づいたシステムを開発し、Science誌に発表した。
- 実証実験として、15種類の低分子医薬品を合成した:複雑な操作を検証するために、アスピリンに続く抗生物質セクニダゾールの合成、共通の原料を使用する鎮痛剤リドカインに続く向精神薬ジアゼパムの合成、システムが立体化学を理解することを示す(S)-ワルファリンに続くパーキンソン病治療薬サフィナミドの合成、および、キナプリルを含む5種類のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤とセレコキシブを含む4種類の非ステロイド抗炎症薬の合成を実現した。
- 装置の大きさは2立方メータに収まり、実証実験の合成は2時間から68時間内で完了した。
関連crisp_bio記事および参考論文
- [1] "Reconfigurable system for automated optimization of diverse chemical reactions" Bédard AC, Adamo A, Aroh KC, Russell MG, Bedermann AA, Torosian J, Yue B, Jensen KF, Jamison TF. Science. 2018 Sep 21;361(6408):1220-1225;Fig. 1 Plug-and-play, reconfigurable, continuous-flow chemical synthesis system.
- [2] 2017-04-11 薬剤をオンデマンドで生産する小型・可搬・再構成可能な連続フロー生産装置
- 2018-10-07 InSCyT:バイオ医薬品オンデマンド生産システム
- 2017-06-23 医薬品、バッチ合成から連続フロー合成へ
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