[出典] "Deep multiomics profiling of brain tumors identifies signaling networks downstream of cancer driver genes" Wang H [..] Baker SJ, Peng J. Nat Commun. 2019-08-16.
- St. Jude Children’s Research Hospitalの研究グループは今回、発癌性受容体型チロシンキナーゼ (RTK)遺伝子変異2種類、PDGFRA変異 (D842V)とTPM3-NTRK1融合遺伝子、それぞれを帯びた2種類のhigh-grade glioma (HGG)モデルマウスのプロテオーム、リン酸化プロテオームおよびトランスクリプトームのプロファイリングを比較分析した。
- MSで解析したタンパク質とリン酸化サイトはそれぞれ13,860種類と30,431ヶ所に及んだ。
- バイオインフォマティクス解析から、多数の機能モジュールおよび41種類のキナーゼと23種類の転写因子を含む多数のマスター調節因子を同定し、パスウエイの活性化の推定とマウスの生存データから、TPM3-NTRK1融合遺伝子とPDGFR変異の作用を比較した。なお、双方の変異は小児および成人HGGに高頻度で見られる。
- TPM3-NTRK1融合遺伝子は、他のRTKsを多数上方制御してPI3K-AKTパスウエイにポジティブフィードバック・ループを形成し、PDGFRA変異よりも速い腫瘍の成長をもたらした。
- マスター調節因子群を標的とするCRISPR-Cas9スクリーニングから、RTK-PI3K-AKT下流のMycとJunを含む転写因子と、AMPKa1とAMPKa2を含む代謝センサーキナーゼが、TPM3-NTRK1駆動型HGG細胞の生存に必須であると同定した。
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