1. CRISPRaとscRNA-seqによるスクリーニングを介して胚性ゲノム活性化(zygotic genome activation:ZGA)を促進する因子を同定
[出典] "A single-cell transcriptomics CRISPR-activation screen identifies new epigenetic regulators of zygotic genome activation" Alda-Catalinas C [..] Reik W. bioRxiv. 2019-08-21.
  • Babraham Institute, EMBLなど英独の研究グループは、マウスES細胞において、230種類のエピゲノム制御因子と転写制御因子を標的とするCRISPRaを加えた細胞のscRNA-seqからZGA様の応答を促進する因子44種類を同定した。この中で、DNA結合タンパク質のDppa2、クロマチンリモデリング因子のSmarca5、および転写因子Patz1が、ZGA遺伝子の発現を特に強く誘導した。
  • Dppa2とSmarca5のダブルノックアウトによりZGA遺伝子発現が失われた。Smarca5ノックアウト細胞でのDppa2の過剰発現はこれを修復したが、Dppa2ノックアウト細胞でのSmarca5過剰発現はこれを修復せず、Smarca5がZGAをDppa2の上流からDppa2を介してZGAを制御することが示唆された。
2. サケ類細胞株の遺伝子編集をレンチウイルスを介したCas9とsgRNAの送達により実現
[出典] "Efficient CRISPR/Cas9 genome editing in a salmonid fish cell line using a lentivirus delivery system" Gratacap RL [..] Houston RD. bioRxiv. 2019-08-22.
  • U Edinburgh, U AberdeenならびにU Paris-Saclayの英仏研究グループがChinook salmon (Oncorhynchus tshwaytcha) 細胞株CHSE-214で実証
3. [レビュー] RNAi, ZFNs, TALENsおよびCRISPR/Cas9によるショウジョウバエ属以外の昆虫を対象とする行動研究の進展
[出典] REVIEW "Progress in the use of genetic methods to study insect behavior outside Drosophila" Mansourian S, Fandino RA, Riabinina O. Curr Opin Insect Sci. 2019-08-09.
  • ハエ目, チョウ目ならびにハチ目に属する昆虫
4. [レビュー] CRISPR時代に、持続可能な農業の実現を目指して、植物とマイクロバイオームとの相互作用を探る
  • [出典] REVIEW "Exploration of Plant-Microbe Interactions for Sustainable Agriculture in CRISPR Era" Shelake RM, Pramanik D, Kim JY (慶尚大学校). Microorganisms. 2019-08-17
  • 植物とマイクロバイオーム(PM)の相互作用とPM相互作用に影響を与える環境因子 (Figure 2引用左下図参照)、PM相互作用の解析・植物病原菌対策や品質改良への利用を実現するCRISPRツールキット(Figure 5引用右下図参照)をレビュー
PM interaction2 PM interaction 5
5. 植物ゲノム編集をめぐる規制 - 日本の状況
[出典] "Regulation of Genome Editing in Plant Biotechnology: Japan" Ishii T. In: Dederer HG., Hamburger D. (eds) Regulation of Genome Editing in Plant Biotechnology. 2019-08-17.
  • 日本ではGM作物を輸入しているが、いわゆる「青いバラ」を除いて商業用栽培は行われていなかったところ、2017年にGMイネの野外実験が認められた。
  • 最近の調査によると消費者の40.7%がGM食品に懸念を抱いており、また、GM作物の栽培に反対しゲノム編集作物に対する規制整備を求める市民団体も存在する。
  • 一方で、ゲノム編集技術による作物改変に 熱意を抱いている(in earnest)省庁は存在しない。
  • [crisp_bio注] Regulation of Genome Editing in Plant Biotechnologyには、日本の他にアルゼンチン、オーストラリア、カナダ、 EUおよび米国からのレポートと比較分析がまとめられている。