[出典] "Engineered CRISPRa enables programmable eukaryote-like gene activation in bacteria" Liu Y, Wan X, Wang B. Nat Commun 2019-08-26.
背景
- U. Washington (UW)のChen Dongらが、sgRNAにMS2を結合したscaffold RNA (scRNA)にMCPを介してRNAポリメラーゼと相互作用する転写活性化因子 (エフェクタ)をリクルートするdCas9-scRNA-エフェクーでCRISPRaシステムを構成するにあたり、E. coliにおける最も強力な転写活性化因子SoxSを同定・採用することで、CRISPRiに対してバクテリアでは困難であったCRISPRaを実現した [1]。
- このバクテリアCRISPRaはただし、真核生物ではCRISPRaの標的を比較的柔軟に選択できるのに対して、標的は転写開始位置からすぐ上流の狭い領域に限られていた。
成果
- University of Edinburghの研究チームは今回、UWのCRISPRaシステム (dCas9-scRNA-SoxS)がσ70プロモータに依存するために柔軟性に欠けることから、σ54を活性化する“bacterial Enhancer Binding Proteins (bEBPs)"[2]と呼ばれるエフェクタを利用し、さらに、dCas9に替えてdxCas9 [3]を利用することで、可用性と標的遺伝子転写活性化 (ON-OFFダイナミックレンジ1,000倍)に優れたバクテリア用のCRISPRaを開発し、多重活性化を介した代謝パスウエイの最適化を実現した (システムの構成と機能の概要を示す下図は原論文Fig. 1の一部引用:エフェクターは図の中ではActivator)。
[引用crisp_bio記事と論文]
- CRISPRメモ_2018/06/29 [第3項] E. coliに最適なCRISPRaを開発し、バクテリアの転写をリプログラミング
- "The role of bacterial enhancer binding proteins as specialized activators of σ54-dependent transcription" Bush M, Dixon R. Microbiol Mol Biol Rev. 2012 Sep;76(3):497-529.
- 2018-03-02 xCas9:PAMの拡張とオフターゲット抑制を両立
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