[出典] "Anti-CRISPR-Associated Proteins Are Crucial Repressors of Anti-CRISPR Transcription" Stanley SY [..] Davidson AR. Cell 2019-08-29. ; [crisp_bio 2019-11-07追記] [in Brief] Anti-anti-CRISPR. Tang L. Nat Methods. 2019-10-31.
背景
背景
- ファージはanti-CRISPR (Acr)タンパク質を発現することで宿主のCRISPR-Casシステムを阻害し宿主細胞内で生存する。Acrタンパク質をコードするacr遺伝子のほとんどが、ヘリックスターンヘリックス (HTH)モチーフを帯びたタンパク質をコードする保存性の高いanti-CRISPR-associated(aca)遺伝子に隣接している。このことから、aca遺伝子は、ゲノム配列からのacr遺伝子探索の手がかりとして利用されている。
- Acaタンパク質の機能は不明であったところ、Acrタンパク質とAcaタンパク質の関係について、University of Otagoの研究グループが、Acaタンパク質がacr遺伝子発現の自己調節因子として機能すると2019-08-20にNAR誌に発表 [1]していた。
成果
- U. TorontoとUCSFなどの研究グループは今回、Pseudomonas aeruginosa phage JBD30をモデルとした解析から、Acaタンパク質がacr遺伝子の転写を抑制するとの論文をCell誌に発表した (Cell論文は2019-07-25に受理)。
- ファージは宿主細胞に侵入すると同時に、cr遺伝子のプロモーターによってacr遺伝子の転写が急速に進み、Acrタンパク質が宿主細胞内に蓄積され宿主のCRISPR免疫応答に対抗するが、一方で、ファージ自身を破壊する。
- 一方で、anti-CRISPRオペロンにコードされているaca遺伝子からのAcaタンパク質が、acr遺伝子のプロモーターに作用しacr遺伝子の転写を抑制することを同定した。
- Acaが欠損していると、aca遺伝子の下流に位置している遺伝子の転写プロファイルが改変され、ファージの形態形成が損なわれることで、ファージの生存が脅かされるに至る分子機序が示唆された。
- すなわち、Acaがanti-anti-CRISPRとしてacr遺伝子の転写を抑制することが、CRISPR-Casシステムの有無とは独立に、ファージの生存に必須であることが示唆された。
[引用crisp_bio記事]
- 2019-08-22 ファージのanti-CRISPR活性を調節するファージ内在機構
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