[出典] FRET-assisted photoactivation of flavoproteins for in vivo two-photon optogenetics. Kinjo T, Terai K [..] Matsuda M. Nat Methods 2019-09-09.
背景
背景
- 光誘導・光活性化二量体形成 (light-induced/light-activated dimerization; LID/LAD)技術の開発によって、光操作によるタンパク質間相互作用ひいてはシグナル伝達経路の調節と解析が可能になった。例えば、シロイヌナズナ由来の光受容体フラボタンパク質クリプトクロム2 (CRY2)と同じくシロイヌナズナ由来のCIB1またはCIB1変異体CIBNのセットにより、青色光照射によって、CRY2を融合したタンパク質と、CIB1/CIBNを融合したタンパク質の、細胞内での相互作用の可視化が可能になった。
- 一方で、2光子励起顕微鏡 (2P excitation microscopy: 2PEM)の開発によって、生体組織の深部の可視化も可能になった。
成果
京都大学を主とする研究グループは今回、2P励起によるCRY2の活性化効率が極めて低いことを見出したが、CPY2の2P励起の効率を高める技術を開発してCRY2の2P励起を実現し (2P-activatable CRY2: 2paCRY2)、2paCRY2と2PEMによる細胞/組織内でのシグナル伝達の調節と解析を実現した。
2paCRY2は、CRY2の光回復酵素相同領域 (CRY2PHR (photolyase homology region))に、リンカーを介してmTagBFP2を連結した構成であり、mTagBFP2が2P励起のエネルギーを吸収し、Förster共鳴エネルギー移動(FRET)を介してCRY2PHRに含まれている青色光吸収余因子であるフラビンアデニンジヌクレオチド (flavin adenine dinucleotide: FAD)に効率良く移動する仕組み (FRET-assisted photo activation: FRAPA)に基づいている。
- 2paCRY2にRAF1タンパク質を結合した2paRAFを介して、3次元細胞培養系において、シングルセル分解能で、2P励起によって細胞外シグナル調節キナーゼ (Extracellular Signal-regulated Kinase: ERK)活性化を実現。
- 2paRAFを発現させたマウス皮膚においても、ERKの2P励起を実現し、また、ERKの細胞間伝播の追跡も実現。
- さらに、FRAPAを他のフラボタンパク質にも展開可能なことを、mTFP1とLOVドメインに基づく光誘導性核外移行因子 (light-inducible nuclear exporter: LINX)の組み合わせ2paLINXが、2p励起によって細胞核から細胞質へ移行することで、実証。
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