[出典] Targeted transcriptional modulation with type I CRISPR–Cas systems in human cells. Pickar-Oliver A [..] Gersbach CA. Nat Biotechnol. 2019-09-23.
クラス 2 CRISPR-CasシステムのCas9やCas12はヒトゲノム編集に広く利用されている一方で、クラス 1 CRISPR-Casシステムはバクテリアとアーケアが帯びているCRISPRシステムの90%を占めるにも関わらず、ヒトのゲノム・エピゲノム編集への応用が進んで来なかった。
Duke UniversityのCharles A. GersbachとAdrian Pickar-Oliverが率いる米独の研究グループは今回、これまでに同定されたCRISPR-Cas遺伝子座の > 50%を占めるクラス 1- タイプ I CRISPR-Casシステムを哺乳類細胞で発現させ標的遺伝子の転写の活性化または抑制に利用可能なことを実証した。
- Escherichia coli K12 由来のタイプI-Eシステムをコードする遺伝子座は、8種類のcas遺伝子とその下流に位置する29-bpの反復配列と免疫記憶にあたる長短のスペーサからなるCRISPRアレイで構成されている。この遺伝子座から、5種類のサブユニット (Cas8e, Cse2, Cas7, Cas5およびCas6)と、CRISPRアレイからCas6によって生合成された61-ntのcrRNAからなる405 kDaのCascade (CRISPR-associated complex for antiviral defense)が、形成される (原論文Fig. 1参照:以下、EcoCascade)。CascadeはDNA上にて、crRNAスペーサー配列に相補的な標的配列の上流にPAMを発見すると、標的配列に結合する。
- 研究グループはcas3の発現を排除することで、dCas9に相当するEcoCascadeを実現し、HEK293細胞において、Cas6にp300を結合することで、EcoCascade-p300による遺伝子転写活性化を実現した。
- 次に、Listeria monocytogenes Finland_1998 タイプI-B CRISPR-CasシステムのCascade (原論文Fig. 4参照:以下、LmoCascade) についてもcas3の発現を回避し、Cas6–p300に加えて、Cas8b2–p300またはCas5–p300のp300の組み込み全てが、HEK293T細胞における遺伝子転写活性が亢進することを見出した。
- さらに、LmoCascadeのCas6にKRABを融合することで、K562細胞における遺伝子発現抑制も実現した。
- タイプIIシステムの3'PAMに対して、EcoCascadeのPAM (5′-AAG, AGG, ATG, GAG, TAG-3′)とLmoCascadeのPAM (5′-CCA-3′)が加わることで、遺伝子転写調節の対象が大きく広がることになる。
Nature Biotechnology@NatureBiotech
Targeted transcriptional modulation with type I CRISPR–Cas systems in human cells https://t.co/2d3gNJGIuL https://t.co/kLb3gUhF79
2019/09/24 01:46:15

コメント