(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/12/28)

  • Corresponding author: 小林広幸 (東海大学)
  • 腫瘍細胞における遺伝的変異の機構解明の一環として、急性白血病細胞株MOLT-3と抗がん性抗生物質イダルビシン(Idarubicin)に対する耐性を獲得した細胞株MOLT‐3/IDRにおける遺伝的変異を比較解析した。
    • ミトコンドリアDNAと核DNAの比較解析から、MOLT‐3/IDRに特有な変異としてミトコンドリアND3遺伝子における変異p.Thr61Ileを同定した。
    • さらに、CGHアレイ解析からGALNT2 遺伝子を含む薬剤耐性関連候補遺伝子5種類を同定した。GALNT2 のエクソンのシーケンシングから、MOLT-3細胞には存在しないMOLT-3/IDR細胞特有の変異、ストップコドン内におけるG1716K変異、を発見した。この変異は、GALNT2 にコードされるタンパク質に18アミノ酸の伸長をもたらした。
    • 変異型GLANT2 の発現をPCRで確認しさらに由来タンパク質の立体構造を予測し、薬剤耐性に関与する構造基盤について論じた(参考図参照)。43680001