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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

2020-05-16 Cell 論文出版
2019-10-23 bioRixv 投稿に準拠した初稿
[出典] An engineered CRISPR/Cas9 mouse line for simultaneous readout of lineage histories and gene expression profiles in single cell. Bowling S, Sritharan D [..] Hormoz S, Camargo FD. bioRxiv. 2019-10-17 > Cell 2020-05-14 

 Harvard Universityを主とする研究グループがGESTALT[*]に基づいて表題を可能とするCARLIN (CRISPR Array Repair LINeage tracing)マウスを樹立した。

CARLIN ES細胞
  • ES細胞のセーフ・ハーバー領域Col1a1に、tetO-Cas9、ならびに、pU6-sgRNA 10組とCAG配下にEGFPとsgRNAsの標的になるアレイを配したコンストラクトを、導入する。
  • アレイは、13-bpの保存領域、10種類のsgRNAsのターゲットとなる7-bp領域および3-bpのPAMと4-bpのリンカーからなる。このアレイをCARLINアレイと称する
  • CARLINアレイとは別に、リバーステトラサイクリン調節性トランス活性化因子(M2-rtTA)を、ES細胞のセーフ・ハーバー領域Rosa26遺伝子座に導入する。
  • こうして作出したES細胞において、DoxでCas9の発現を誘導するごとに、CARLINアレイに、Cas9による二本鎖DNA切断からのエラーが起きやすいNHEJ修復過程を経て、極めて多様な変異が刻まれていくこと、および、Cas9発現のレベルと期間によって、変異の様相が変わることを確認した。
CARLINマウス
  • CARLINアレイ/Col1a1を導入したES細胞由来マウスと、tetO-Cas9/Col1a1とrtTA/Rosa26を導入したES細胞由来マウスを交配することで、CARLINマウスを作出し、シングルセル・ドロップレット・シーケンシングを介して44,000種類までのCARLINアレルの読み取りを実現した。
  • また、CARLINマウスにおいて、造血幹細胞の分化の過程と5-FUによる損傷からの修復の過程それぞれにおけるクローンの動態について新たな知見を得るに至った。
[crisp_bio関連記事]
2019-05-15 マウス胚形成時の細胞運命マップを描く  [a homing guide RNA (hgRNA)]
CRISPRメモ_2019/05/17-1 [第5項] LinTIMaT: CRISPR-Cas9バーコード編集とscRNA-seqの融合による細胞系譜追跡
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