[出典] Endogenous CRISPR-Cas System-Based Genome Editing and Antimicrobials: Review and Prospects. Li Y, Peng N. Front Microbiol. 2019-10-25.
CRISPRシステムの中で、ゲノム編集にはタイプ2システムのエフェクターのCas9、Cas12およびCas13が最も広く利用されているが、バクテリアとアーケア、特に極限微生物、のゲノム編集には効果的ではない。一方で、アーケアの殆どとバクテリアの半分のゲノムに種々のCRISPRシステムがコードされている。そこで、バクテリアとアーケアのゲノム編集には、前述のエフェクターを外部から導入することなく、内在CRISPR-Casシステムを利用することが試みられている。
華中農業大学の研究チームが今回、CRISPR-Casシステムのクラス1と2およびタイプI/III/IVとタイプII/V/VIの分類とそれぞれのadaptaionからprocessingを経てinterferenceまでの機構 (Figure 1引用下図参照)を解説し、
Streptococcus pneumoniae、S. mutans、Clostridium pasteurianum、C. tyrobutyricum, Lactobacillus crispatus, Sulfolobus islandicusなどのゲノム編集の事例を紹介し、続いて、内在CRISPR-Casシステムによる抗菌剤の研究開発の状況を紹介し、最後に、新たな菌種にて内在CRISPR-Casシステムによるゲノム編集を実現するにあたり留意すべき点や、耐性の発生とその対策を展望した。
華中農業大学の研究チームが今回、CRISPR-Casシステムのクラス1と2およびタイプI/III/IVとタイプII/V/VIの分類とそれぞれのadaptaionからprocessingを経てinterferenceまでの機構 (Figure 1引用下図参照)を解説し、
Streptococcus pneumoniae、S. mutans、Clostridium pasteurianum、C. tyrobutyricum, Lactobacillus crispatus, Sulfolobus islandicusなどのゲノム編集の事例を紹介し、続いて、内在CRISPR-Casシステムによる抗菌剤の研究開発の状況を紹介し、最後に、新たな菌種にて内在CRISPR-Casシステムによるゲノム編集を実現するにあたり留意すべき点や、耐性の発生とその対策を展望した。
- 結核菌 (Mycobacterium tuberculosis)ゲノムには、2つのCRISPR遺伝子座、6つのcsm遺伝子 (interference担当)、1つのcas6遺伝子 (crRNA processing担当)およびadaptationモジュールで構成されるサブタイプIII-A CRISPR-Casシステムがコードされている。サブタイプIII-A CRISPR-Casシステムは一般に、標的RNAの切断活性に加えて非選択的なssDNAとRNAの切断活性 (以下、コラテラル分解)を帯びている。結核菌はまた、比較的大量のバクテリオファージを帯びており、自身の染色体を標的とするgDNAを送達するに必要なファージの選択を可能とする。
- 具体的には、マイコバクテリオファージTM4 (PH101ts)に由来するプラスミドphAE159により、必須遺伝子を標的とするスペーサを含む"反復配列-スペーサ-反復配列"からなる合成mini-CRISPRアレイを送達することで、内在Csm複合体を介して、結核菌の細胞死が誘導される。さらに、コラテラルRNA分解を介した結核菌の休眠化または細胞死も誘導される。
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