crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

1. 第2回ヒトゲノム編集国際サミットから1年、Jennifer Doudnaの思い
[出典] CRISPR's unwanted anniversary. Doudna J. Science. 2019-11-15.
 CRISPRbabies [*] の事案以来のモラトリウムの議論は終え、緊急に然るべき規制 (regulation)を定めるべき
[*] 関連crisp_bio記事
2. ロングリードシーケンシングによりサンガーシーケンシングでは困難な、CRISPR/Cas9 HDRによるマウス胚ゲノム編集由来モザイク・ファウンダーにおける編集結果の的確な判定を実現
[出典] Application of long-read sequencing for robust identification of correct alleles in genome edited animal. McCabe CV, Codner GF [..] Sanderson ND, Teboul L. bioRxiv. 2019-11-14
 MRC Harwell InstituteとUniversity of Oxfordの研究グループは今回、CRISPR/Cas9とロング・シングル・ストランドDNA (lssDNA)ドナーを介したマウス一細胞胚編集がもたらすモザイク・ファウンダーとその仔における目的とした変異の同定が、サンガーシーケンシングでは困難であったところ、Oxford Nanopore Technologies技術によるシーケンシング (ONTシーケンシング)により実現した。

3.  一部のウイルスが帯びているmini-CRISPRアレイは、ウイルス間の競合に寄与する
[出典] Virus-borne mini-CRISPR arrays are involved in interviral conflicts. Medvedeva S [..]  Krupovic M. Nat Commun. 2019-11-15
 Institut Pasteur、Skolkovo Institute of Science and Technology (ロシア)およびNCBIなどの研究グループが、超好熱性のスルフォロブス目アーケアのCRISPRome (マイクロバイオームに存在する全てのスペーサ)のディープ・シーケンシングにより、もっとも多いスペーサの一部が、アーケア・ウイルスが帯びているCRISPRアレイに由来することを同定し、それにより、アーケアがウイルスの重感染を排除し、一方で、アーケア・ウイルスが種分化するとした (下図は、Fig. 6から引用した「ウイルスのmini-CRISPRに由来するcrRNAが、宿主アーケアが帯びているCRISPR-Casの干渉モジュール (i-Cas)に融合することで、近縁ウイルスの感染を防御する機序のモデル図」)
mini-CRISPR
4. ケージドgRNAを利用して、HEK93T細胞とゼブラフィッシュ胚においてCRISPR/Cas9の精密な時空間制御を実現
[出典] Spatiotemporal Control of CRISPR/Cas9 Function in Cells and Zebrafish using Light-Activated Guide RNA. Zhou W [..] Deiters A. bioRxiv. 2019-11-13. > Angew Chem Int Ed Engl 2020-03-11.
 University of PittsburghとHorizon Discoveryの研究グループが、gRNAのウリジンおよびグアノシンに 6-Nitropiperonyloxymethyl (NPOM)を結合することで (ケージド核酸塩基とすることで)、表題を実現した。

5. [レビュー] lncRNAの一種DNACR (Differentiation antagonizing non-protein coding RNA)は、ヒト癌の治療標的である
[出典] [REVIEW] Long Non-coding RNA DANCR as an Emerging Therapeutic Target in Human Cancers. Jin SJ, Jin MZ, Xiao BR, Jin WL. Front Oncol. 2019-11-15
 上海交通大学とハルビン医科大学の研究グループが、ヒト癌におけるDNACRの機能と分子機構、および、DNACRを標的とするCRISPR/Cas9、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびsiRNAによる療法、および、発癌性lncRNA療法に利用されるベクター (ウイルス、脂質またはエクソソーム)をレビューした (下図は、FIGURE2を引用した種々の癌におけるDANCRの分子機構の模式図)。
DNCR
[CRISPRによるlncRNAs解析関連crisp_bio記事] 
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