[出典] Deciphering essential cistromes using genome-wide CRISPR screens. Fei T, Li W, Peng J [..] Liu XS, Browan M. Proc Natl Acad Sci U S A. 2019-11-14; [COMMENTARY] Shining light on dark matter in the genome. Guan D, Lazar MA. Proc Natl Acad Sci U S A. 2019-11-18.
ヒトゲノム解析からシストローム (数百万の転写因子結合サイト群)が同定されてきたが、各転写因子結合サイト (以下、結合サイト)が細胞の種類や状態において発揮する機能を読み解くことは、その大半について課題として残ったままである。
Northeastern UniversityとDana-Farber Cancer Instituteなどの研究グループは今回、エストロゲン受容体 (ER)陽性の乳癌細胞株T47Dと、前立腺癌細胞株LNCaPを対象に、プール型ゲノムワイドCRISPR KOスクリーン結果を次世代シーケンシングとgRNAエンリッチメント解析し、10,000ヶ所を超えるFOXA1とCTCFの結合サイトから、のべ72ヶ所を必須と判定した。また、そのうちの一部はどちらかの細胞株に特異に必須であることや、その多くがタンパク質コーディング遺伝子内のイントロン領域に位置することを見出した。
- FOXA1の必須結合サイトは、エンハンサーとして機能し、細胞株に特有な転写因子が結合することで、近傍の必須遺伝子の発現を調整していた。
- CTCFの必須結合サイトは、2種類に分類された:(1) FOXA1の必須結合サイトと同様に、エンハンサーとして機能し近傍の必須遺伝子の発現を調節;(2) topologically associated domain (TAD) の形成に寄与するゲノム境界因子として機能
- 大規模なスクリーニング結果と公開されているエピゲノムのデータをもとに教師あり学習をさせたサポートベクターマシンに基づいて、エンハンサーまたはシストローム結合サイトの必須性を予測する回帰モデルを構築した。
- FOXA1のモデルから推定した必須結合サイトは、GWASから癌発生のリスクおよび癌の進行と相関するとされていた生殖細胞系列における変異サイトと有意に一致し、CRISPR/Cas9 sgRNAによるスクリーンが、臨床診断に有用であることが示唆された。
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