[出典] Targeted exon skipping with AAV-mediated split adenine base editors. Winter J [..] Perez-Pinera P. Cell Discovery. 2019-08-20

 多くの遺伝子疾患をエクソンスキッピングにより治療できる可能性があり、CRISPRシステムによるエクソンスキッピングもさまざまな手法が試みられている [1-4]。University of Illinois at Urbana-Champaignの研究グループも、2018年に、CBE (Cytidine Base Editors: C-to-T)の一種であるBE3を介した塩基置換によりスプラス受容部位を消失させることで、エクソンスキッピングを実現し、CRISPR-SKIPとして発表した [4]

 研究グループは今回、ABE (Adenine Base Editors: A-to-G)を介してスプライス受容部位内で保存されているアデニンを置換することで、スプライス受容部位を消失させることを試みた(原論文のFig. 1から引用した下図参照)。ABE
 HEK293T細胞にて、CTNNA1HSF1JUPおよびAHCYの各遺伝子の内部エクソンをモデルとして検証し、標的遺伝子ごとに効率は変動するが、いずれも、A-to-G置換の効率と相関してエクソンスキッピングが誘導されることを確認した。HEPG2細胞株のCTNNA1、HCT116細胞株のAHCY、およびマウスNeuro2AとHepa1-6細胞株のCTNNB1についても、エクソンスキッピングが実現されることを確認した
 また、アデノシンデアミナーゼ・ドメインとCas9ニッカーゼ (nCas9)を連結するリンカーのアミノ酸配列の最適化、そしてまたは、ABEのC末端にウラシル-DNAグリコシラーゼの阻害剤 UGIを付加することで、標的遺伝子ごとに変動はあるが概ね、DNA編集の効率と、エクソンスキッピングの頻度が、有意に向上することも示した (Fig. 6引用下図参照)。Fig. 6
 さらに、ABEをN末端側とC末端側に適切に分割することで、AAVで送達可能とした (Fig. 7引用下図参照)。こうして、in vivoで、一時的ではなく恒久的なエクソンスキッピングを誘導する技術は、遺伝子治療のツールとして有望である。
Fig. 7
 ABEとBE3のエクソンスキッピング性能もin silicoで比較し、ABEの方が標的可能な内部エクソン数が
より多く、また、ABEとBE3の双方で標的可能な内部エクソン19,953種類について、ABEの方がオンターゲット効率がより高くオフターゲット編集が抑制される、と推定した。

[参考crisp_bio記事]