[出典] CRISPR-Cas3 induces broad and unidirectional genome editing in human cells. Morisaka H, Yoshimi K, Okuzaki Y [..] Hotta A, Takeda J, Mashimo T. Nat Commun. 2019-12-06.
CRISPRシステムによるゲノム編集はこれまで、シングルコンポーネントのタイプII Cas9やタイプV Cas12a (Cpf1)が先導してきたが、マルチコンポーネントのクラスClass 1システムによる微生物ゲノム [1]に加えて哺乳類細胞のゲノム編集が広がりつつある [2-4] 。
阪大、高知大、京大、遺伝研ならびに広島大の研究グループは今回、Class 1システムに属するタイプI-E CRISPRを介したエクソンスキッピングにより、デュシェンヌ型筋ジストロフィー責任DMD遺伝子変異の修復を実現した。
- タイプI-Eにおいて外来配列を監視する複合体Cascadeとヘリカーゼ・ヌクレアーゼCas3の関係についてFig. 1引用下図 a 参照:

Cas3は、上図 c のグラフにあるように、90-ntのpre-crRNAを伴う場合に限り活性を示した。61-ntの長さのmat (成熟)-crRNAの場合にCas3が活性を示さなかったことは、Cascadeによるpre-crRNAの成熟化過程がCas3の活性に関与することを示唆する。 - Cas3は、Cas9が小規模なindelsを比較的高い効率で誘導したのに対して、100 bpより小規模な変異を誘導しなかった一方で、5’-ARG PAM上流の数千塩基対を削除する活性を示した。オフターゲット活性はCas9と同程度あるいはCas9よりは低レベルであった。
- Cas3を介した一方向のDNA大領域の削除は、遺伝子のノックアウトとノックインを介した遺伝子機能解析に展開可能である。研究グループは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者由来のiPSCsにおいて、Cas3を介したDMD遺伝子のエクソン・スキッピングによってDMDタンパク質の発現修復することで、タイプI-Eシステムの臨床応用の可能性を示した。Fig.4引用下図の b のグラフにあるように、Cas3を介したエクソン・スキッピングの効率はCas9を凌いだ。

[参考crisp_bio記事]
- 2019-12-05 タイプI-C/I-F CRISPR-Cas3により微生物ゲノムの大領域削除を実現
- 2019-04-10 Cas9はスイスアーミーナイフ、Cascade-Cas3は自走するシュレッダー:タイプ I-E; E. coli由来Cas3と成熟crRNAのRNPを細胞へデリバー
- 2019-09-25 ヒト細胞における遺伝子の転写活性化と抑制を、E. coli由来Cascadeで実現:タイプ I-E, I-B
- 2019-11-19 ヒト細胞におけるゲノム編集を、タイプ I CRISPR-CasシステムCascadeで実現:タイプ I-E
[関連するAddgeneツイート]
CRISP_SCIENCE@ScienceCrisp
#CRISPR-Cas3を介したエクソン・スキッピングによるDMD遺伝子変異修復
2020/02/29 08:27:40
(crisp_bio 2019-12-07)
https://t.co/vzC6Kg7D0R https://t.co/xX48Oxp1tm

コメント