[出典] Bottom-up structural proteomics: cryoEM of protein complexes enriched from the cellular milieu. Ho CM, Li X [..] Zhou H. Nat Methods. 2019-11-25.
 タンパク質のX線結晶構造解析にあたっては、解析可能な結晶サンプルを調整するために、しばしばタンパク質への変異導入やアミノ酸鎖の短縮といった前処理が必要であったが、近年、タンパク質の結晶化を必要としないクライオ電顕 (cryoEM)法による構造再構成法に'resolution revolusion'が起こり [1-3]、立体構造解析を阻んでいたタンパク質の近原子分解能 (3.0–4.0 Å)のマップが次々に明らかにされるに至った。
  • UCLAを主とする研究グループは今回、ab initio cryoEMマップからタンパク質を同定するプログラムcryoIDを開発し、前処理をすることなく内在細胞環境から直接濃縮した未同定のタンパク質複合体の近原子分解能のab initio cryoEMマップに、質量分析に基づくボトムアップ・プロテオミクスを組み合わせることで、複合体を構成するタンパク質の同定を実現し、これを、ボトムアップ内在構造プロテオミクス (a bottom-up endogenous structural proteomics: 以下、BESP)と称した。
  • 具体的には、これまでの構造生物学の手法が通用しなかった熱帯熱マラリア原虫Plasmodium falciparumイタの細胞溶解液を対象とするBESPから、赤血球内生存に関与する多タンパク質複合体の原子モデル構築を実現した。
[参考crisp_bio記事例]