1. Alleleanalyzer: サンプルに特異的な'personalized' sgRNAとアレルに特異的なsgRNAの設計法
[出典] Alleleanalyzer: a tool for personalized and allele-specific sgRNA design. Keough KC [..] Conklin BR, Pollard KS. Genome Biol. 2019 Aug 15;20(1):167.
[プログラム入手先] https://github.com/keoughkath/AlleleAnalyzer
[プログラム入手先] https://github.com/keoughkath/AlleleAnalyzer
CRISPR/Casゲノム編集は、レファランスゲノムに基づいて設計されたsgRNAが認識できない変異を帯びている標的遺伝子に遭遇する可能性がある。一方で、CRISPR/Casゲノム編集ツールは、sgRNAと標的との間の1塩基の違いに寛容 な場合もあるが、ほとんどの場合、1塩基しか違わないアレルを識別する感度を帯びている。したがって、レファランスゲノムに基づいて設計されたsgRNAsは、標的アレルを見逃し、想定外のアレルに作用する可能性がある [1-2]。
UCSFとGladstone Institutesの研究グループは今回、SNVおよび短い挿入と欠失を考慮し、下図 (Fig. 1から引用)にあるように、レファランスに基づいたsgRNAにかわるpersonalized sgRNAとallele-specific sgRNAの設計を可能とするAlleleanalyzerを開発・提供した。

Alleleanalyserは11種類のCasタンパク質に対応し (Fig. 2引用左下図参照)、また、人類集団それぞれに共通する遺伝変異に対して最適なsgRNAの設計を可能とした (Fig. 3引用右下図参照)。
[参考crisp_bio記事]
- CRISPRメモ_2017/08/01 [第1項] 個人間・集団間のゲノムの多様性がCRISPRゲノム編集治験・治療を左右する
- CIRSPRメモ_2017/12/12~13 [第1項] CRISPR-Cas9遺伝子治療には、患者個人に特有なゲノム変異の情報が必須
2. CRISPR/Cas9のgRNAsをレファランス・ゲノムに依存することなく設計する法
[出典] kRISP-meR: A Reference-free Guide-RNA Design Tool for CRISPR/Cas9. Hera MR, Rahman A, Rahman A. bioRxiv. 2019-12-08.
CRISPR/Cas9を標的部位に誘導するsgRNAsの設計はレファランス・ゲノムに基づいている。しかし、レファランスとなる全ゲノム配列の解読は必ずしも容易ではなく、コストもかかることから農業作物を含む多くの生物種のレファランスゲノムが明らかになっていない。また、ヒトゲノムをはじめとして、ゲノム編集の対象とする系統・菌株・個体などのゲノムは、ほとんどの場合レファランスゲノムと同一ではない。
後者の課題についてはこれまでに、個別化sgRNAs (personalized sgRNAs)のツール (Alleleanalyzer [1], Crisflash [2], Crispritz [3] およびCRISPR-Local [4])が開発されてきているが、いずれも、レファランスゲノムとシーケンシング・リードの対照に基づいている。
後者の課題についてはこれまでに、個別化sgRNAs (personalized sgRNAs)のツール (Alleleanalyzer [1], Crisflash [2], Crispritz [3] およびCRISPR-Local [4])が開発されてきているが、いずれも、レファランスゲノムとシーケンシング・リードの対照に基づいている。
Bangladesh University of Engineering and Technologyの研究チームは今回、レファランスゲノムに依存することなく、編集の標的とする遺伝子配列と、解析対象とするサンプルからのシーケンシング・リードのアライメントから、サンプルに特異的な変異を検出した上で同定したpersonalized gRNAs候補と、シーケンシング・リードからJellyfishで導出したk-merスペクトラムとの照合に基づく手法'kRISP-meR'を開発した。
Staphylococcus aureusゲノムとヒトの第14染色体をモデルとして、kRISP-meRは、レファレンスゲノムを参照することなく、GuideScanが同定したsgRNAsのほとんどと一致し、オフターゲット作用がミニマルなsgRNAsを出力することを、示した。
[参考crisp_bio記事]
- 本記事[ 第1項]参照 (Alleleanalyzer: a tool for personalized and allele-specific sgrna design. Genome Biol. 2019 Aug 15;20(1):167)
- CRISPRメモ_2019/01/20 [第5項] Crisflash: 任意のゲノム配列に対するsgRNAの設計とオフターゲット予測を可能にした高速コマンドラインツール
- CRISPRメモ_2019/11/30[第5項] CRISPRitz: CRISPRシステムのオフターゲット部位をgRNA配列に対するindelsや変異も考慮しつつ高速に予測するソフトウエアパッケージ
- CRISPRメモ_2018/12/05 [第8項] CRISPR-Local:参照ゲノムに基づくsgRNAの設計が適合しない植物ゲノム編集に有効なsgRNAsを設計するツールを開発
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