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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] Specificity Assessment of CRISPR Genome Editing of Oncogenic EGFR Point Mutation with Single-Base Differences. Bae T, Kim H  [..] Lee SH, Ham BJ, Hur JK. Molecules. 2019-12-22

 肺癌において活性化しているEGFRには19種類のエクソン欠損と21種類のミスセンス置換エクソンが知られており、EGFR変異を帯びた肺癌に対して一般的な化学療法は奏功せず、EGFRを標的とするゲフィチニブやエルロチニブは新たな変異を誘導し耐性が発生する問題を伴っている。

 慶熙大学校、KRIBBならびに高麗大学校の研究グループは今回、発癌性EGFR点変異、2573T > G (L858R)、の修復を表題の手法で実現した (Figure 1引用下図参照)。Figure 1
すなわち、上図のCの下段の(1)と(2)のgRNAにあるようにT > Gの点変異を、SpCas9のPAM配列である5'-NGG-3'に取り込むようなgRNAを設計することで、T > Gの点変異そのものを標的とするgRNAよりも、精密な修復を実現した。本手法は、変異型アレルとの違いが1塩基である野生型アレルには影響を及ぼさず、また、オフターゲット作用はゲノムワイドで見られなかった。

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