[出典] Functional Oocytes Derived from Granulosa Cells. Chenglei Tian [..] Lin Liu. Cell Rep. 2019-12-24

 顆粒膜細胞 (以下、GC) は、未受精卵を囲む数千もの体細胞であり受精ともに受精卵からは剥がれる体細胞である (下図はブタ卵母細胞とそれを囲む顆粒膜細胞の染色像)。OPig oocyte
GCsはまた、体外受精 (IVF)の過程で、受精卵を卵胞から回収した後に廃棄される。南開大学の研究グループは今回、マウスを対象として、化合物カクテルによるGCsのリプログラミングから始め、生殖能力を備えたをマウス作出に至った。
  • さまざまな化合物カクテルを評価した後、成体マウスの卵巣から分離したGCsをRhoキナーゼ阻害剤 (以下、Rocki)とクロトン酸・ナトリウムで処理することで、生殖細胞への分化能を帯びた多能性幹細胞 (germline-competent pluripotent stem cells, gPSCs)誘導を実現した。
  • Rockiは、GCsのプレートへの接着性を増し、増殖を亢進し、GCsの細胞死を防止した。
  • クロトン酸に水酸化ナトリウムを加えたクロトン酸・ナトリウム (以下、CS)は、リプログラミングのステージ2 (gPSC誘導過程の16-28日)に加えることで、リプログラミングとgPSCs誘導を促進した。
  • RockiとCSによって、Oct4-GFP陽性のクローン数がほぼ6倍増になり、ピックした44クローンから27のgPSCsを樹立した。こうして得られたgPSCsの形態はESCsに類似し、ゲノムワイドの遺伝子発現プロファイルも、GCsとは異なりESCsに類似し、三胚葉まで分化した。
  • gPSCsから分化した始原生殖細胞様細胞 (primordial-germ-cell-like cell, PGCLCs) から、先行研究の手法にRockiとビタミンCを加えることで、卵胞の形成と減数分裂を促進し、染色体のシナプシスとクロスオーバーを経た後、IVM-IVF (in vitro maturation-in vitro fertilization)を介して、生殖能力を帯びたマウス作出に至った。
  • 研究グループは、クロトニル化を経た gPSCsとgPSCsから誘導された生殖細胞の染色体は、より長いテロメアを帯びゲノム安定性も高いことから、化合物による体細胞のリプログラミングは安全で効率の良い手法であるとした。