(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2017/01/03)
- Corresponding authors: Jared E. Toettcher; Clifford P. Brangwynne (Princeton U.)
- 細胞内には、リボ核タンパク質(RNP)ボディー(body)、核小体、PMLボディーなど、膜に囲まれていない(membrane-less)が空間的に明確に区分されている細胞内小器官が多数存在する。こうした液体状顆粒構造体は、天然変性タンパク質領域(intrinsically disordered protein regions (IDRs))を介した相転移によって形成されるというのが共通認識になってきた。
- プリンストン大学の研究チームは今回、光励起によって生細胞内でIDRを介した相転移を制御可能とする光遺伝学プラットフォーム“optoDroplet”システムを開発した。種々のRNA結合タンパク質のIDRにmCherry蛍光タンパク質とArabidopsis thaliana の光回復酵素相同領域(photolyase homology region (PHR))Cry2を結合したコンストラクトを構築し、光のオン・オフに対する反応を生細胞内で観察した。
- NIH 3T3細胞において、mCherryでラベルしたCry2 PHRは青色光によってほとんどクラスターを形成しなかったが、FUSのN末端IDR、ALSに関連したRNA結合タンパク質HNRNPA1のCマッタンIDRあるいはDDX4のN末端IDRとCry2 PHRのコンストラクトはすべて、ほとんどの細胞において急速にクラスターを形成した。
- コンストラクトは臨界濃度を超えた状態で、光によって相分離を起こし、時空間的に明確な液体状optoDropletsを形成し(liquid-liquid phase separation)、FUS optoDropletの形成は活性化サイクルを繰り返しても、可逆的であった。
- 一方で、高濃度な状態で高強度の光を照射すると不可逆的な固体状凝集体を形成するに至った。
- OptoDropletは、細胞内相転移と細胞生理および疾患との関連の解明に貢献するツールである。
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