[出典] Sensitive detection of a bacterial pathogen using allosteric probe-initiated catalysis and CRISPR-Cas13a amplification reaction. Shen J [..] Hu J, Xing D. Nat Commun. 2020-01-14.
Cas13aのコラテラルssRNA切断活性にssRNAレポータを組み合わせた超高感度核酸検出ツールSHERLOCKに準じて、核酸だけでなく、低分子、抗体、タンパク質を超高感度で検出する多数開発されてきた [*]:
Cas13aのコラテラルssRNA切断活性にssRNAレポータを組み合わせた超高感度核酸検出ツールSHERLOCKに準じて、核酸だけでなく、低分子、抗体、タンパク質を超高感度で検出する多数開発されてきた [*]:
- [*] 2019-12-23 Cas13aのコラテラルssRNA切断活性を利用して、マーカータンパク質の超高感度検出を実現 [SHERLCOKを始めとするCas13a関連crisp_bio記事4本へのリンクあり]
研究グループは、Salmonella enterica subsp. enterica serovar. Enteritidis (S. Enteritidis)をモデルとして開発を進めた。S. Enteritidisは、国際的に鶏肉加工品の~20%を汚染するとされているサルモネラ菌の中で、最も高頻度に見られる血清型である。
APの構成 (Fig. 1引用下図上段左端参照)
アロステリック・プローブ (AP)は、標的病原体を認識するアプタマー・ドメイン (パープル)、プライマーが結合するドメイン (ブルー)およびT7プロモーター・ドメイン (オレンジ)の3種類のドメインを帯びたssDNAである。APの3'末端は細胞内での自己伸長と酵素による加水分解を予防する保護基で標識する。
APC-Casの機序 (Fig. 1引用上図1〜3段を参照)

APC-Casの機序 (Fig. 1引用上図1〜3段を参照)
- APは、標的病原体が存在していない環境では、ヘアピン構造とプライマー結合ドメインとT7プロモーター・ドメインが2本鎖を形成している不活性なコンフォメーションを維持する (予備実験から、ヘアピンのステムに当たる部分の長さを13 bpに設定)
- APは、病原体存在下では、そのアプタマー・ドメインが病原体に結合するとヘアピン構造と2本鎖が解けて、プライマー結合ドメインにプライマーが結合可能な活性なコンフォメーションへと変化する。
- その後、アプタマー・ドメインからDNAポリメラーゼを介してdsDNAを生成すると同時にこのサイクルを回してdsDNAを増幅し (増幅第1段階)、続いて、T7 RNAポリメラーゼを介してアプタマー・ドメインの変換に相当するssRNAを大量に生成する (増幅第2段階).
- 最後に、Cas13aが第2項のssRNAに相補的な配列を帯びたcrRNAを介して結合すると同時に、Cas13aのコラテラルssRNA切断活性によって切断された大量のRNAレポーター・プローブが発する蛍光にて (増幅第3段階)、病原体の有無を判定する。
APC-Casの性能
- APC-Casは、1~105 CFUのレンジのS. Enteritidisを短時間で検出可能である (Fig. 3引用下図c参照)

- APC-Casは、E. coli、S. aureusおよびL. monocytogenes、さらに、Citrobacter freundii、Vibrio parahaemolyticus、Shigella flexneri、およびPseudomonas aeruginosaに対して、S. Enteritidisを特異的に検出する (Fig. 4引用下図 a参照)。

- APC-Casは、低温殺菌したミルクと汚染したミルクを明確に判別し、また、S. Enteritidis溶液を飲ませたマウス血清から、早期にS. Enteritidisを検出した。
- APC-Casに使用する試薬のコストは1回あたりUS$0.86.-、所要時間は140分、および必要な検体量は2.5 µLであり、病原体ごとにアプタマーとcrRNAを設計・作出する必要はあるが、APC-Casは食品検査と臨床診断に有望なツールである。
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