1. ATCCにおけるCRISPR/Cas9システムによる癌細胞モデル開発
[出典] CRISPR/Cas9-engineered Cancer Models: The Next Step Forward for Targeted Cancer Therapy. Gillies ET, Tian F. ATCC White Paper. 2019
  • EML4/ALK遺伝子融合に基づく肺腺癌モデル; IDH1 R132H誘導によるグリオーマモデル; IDH2 R140Q変異変異誘導によるAMLモデル;薬剤耐性モデルとしての一連のBRAF V600E変異メラノーマ細胞株 (例 NRAS Q61K, KRAS G13D, MEK1 Q56P)
2. [プロトコル] 共有結合閉環状 (3Cs)gRNAsによる偏りがなく目的に適合したCRISPR/Cas gRNAライブラリの構築法
[出典] Unbiased and Tailored CRISPR/Cas gRNA Libraries by Synthesizing Covalently-closed-circular (3Cs) DNA. Wegner M, Husnjak K, Kaulich M. bio-protocol. 2020-01-05
  • 研究論文 "Circular synthesized CRISPR/Cas gRNAs for functional interrogations in the coding and noncoding genome (Wegner M [..] Kaulich M. eLIFE. 2019-03-06. )"に対応するプロトコル論文;CRISPRメモ_2019/03/14 - 1 [第2項] Kunkel法に基づき共有結合閉環状 (covalently-closed-circular, 3Cs)gRNAを合成する手法を開発し、偏りの無い高品質なgRNAライブラリーを構築
3. ノンコーディング領域の転写の向きを同定するパイプラインTOP (Transcription Orientation Pipeline)
[出典] TOP the Transcription Orientation Pipeline and its use to investigate the transcription of non-coding regions: assessment with CRISPR direct repeats and intergenic sequences. Houenoussi K [..] Pourcel C. bioRxiv. 2020-01-15
  • Université Paris-Saclayの研究グループは、バクテリアとアーケアのゲノムに存在するCRISPRリピートに対応する転写物をRNA-seqデータから探索し、リピート配列の向きを同定するパイプラインTOPを開発し、公開されているCRISPRアレイのデータで検証し、さらに、Staphylococcus aureusの"small non-coding RNAs"を対象に、その性能を実証した。
4. 相同組み換えによるT7ファージ変異体作出において、マーカに基づくポジティブセレクションとCRISPR-Casシステムを介したエンリッチメントの手法を比較
[出典] Comparison of CRISPR and marker based methods for the engineering of phage T7. Grigonyte AM [..] Jaramillo A, Millard A. bioRxiv. 2020-01-13

 多剤耐性菌への対処する療法としてファージ療法が見直されていることから、University of WarwickとUniversity of Leicesterを主とする研究グループは今回、ファージのゲノム工学の観点から表題の比較を行った。
  • マーカとしては、ファージの複製に必須ではあるが、宿主の生存には必須では無い遺伝子を利用する (例 E. coli: ΔtrxA; Δcmk)。マーカも相同組換えの対象とし、宿主因子を欠損させた宿主を利用して、目的とする変異体を選び出す。
  • CRISPRに拠るエンリッチメントでは、CRISPRタイプIまたはタイプIIシステムを利用して野生型ファージを除去することで、変異体を濃縮する。
  •  trxAをマーカとするポジティブセレクションが最も効率が高く、CRISPRタイプIとタイプIIの間ではタイプIIによる野生型排除の方が効率が高かった。
 [ファージ療法関連crisp_bio記事]