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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2017/01/04

  • Last author: 浦野泰照(東京大学)
  • β-ガラクシダーゼと発色基質X-galを代表とする酵素/基質の組合せからなるレポーターシステムが広く利用されているが、それぞれに一長一短があり、既存のシステムと直交するレポーターシステムがまだまだ必要とされている。
    • 大腸菌由来のアゾ還元酵素AZoRは、酸素正常状態(normoxia)でもアゾ化合物におけるアゾ結合(N=N)43850001
      を還元・開裂する。研究チームは先行研究(Piao, W. et al., 2013)で、生細胞内において低酸素状態でアゾ結合の還元・開裂によって強い緑色蛍光(2-methyl rhodamine green(2-Me RG))を発生する無蛍光性(non-fluorescent)の化合物を合成していた。
    • 研究チームは今回、AzoRの蛍光発生基質候補として、rhodamine(ローダミン)のアゾベンゼン部分を置換するazo rhodamine誘導体のライブラリーを設計・合成した。
    • 合成したazo rhodamineはいずれも無蛍光性であった。フェムト秒分解能の吸収分光によって、光による励起状態の継続時間は5 ps未満であり、cis 異性体が形成されなかったことから、この無蛍光性は、N=N結合をめぐる超高速のコンフォメーション変化(例 ツイスト)によることが示唆された。
    • 電子供与基を含むazo rhodamineは、AzoRによって強い緑色蛍光(2-Me RG)を発生したが、一方で、電子求引性基を含む誘導体には蛍光増が見られなかった。この機構は、電子供与基を含むazo rhodamineにおいては、N=Nが、AroRによってヒドラジンに還元され、さらに続く非酵素的反応によって開裂されるためであることも明らかになった。
    • HeLa細胞において、AzoR/azo-rhodamineレポーターシステムによって、アゾ還元酵素を発現している生細胞が可能なことを、一細胞の分解能で実証した。


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