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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2017/01/04

  1. [RESEARCH HIGHLIGHT] ゲノム編集活性のオフ・スイッチ
  2. [論文] Escherichia coli のCas1-Cas2インテグラーゼとプロトスペーサーおよびアクセプターDNAの三者複合体形成機構
    • Corresponding author: Pierre Plateau (Université Paris-Saclay)
    • ゲルシフトアッセイ(electrophoretic mobility shift assays (EMSAs))を利用して、Cas1-Cas2とプロトスペーサーおよびアクセプターとなるプラスミドDNAとの間の複合体形成を、in vitro で追跡し、CRISPR遺伝子座を有しスーパーコイル状のアクセプターDNAの場合に、長時間安定な三者複合体が形成されることを見出した。
    • Cas1-Cas2のアクセプターDNAへの結合は、プロトスペーサーの存在によって亢進されるが、安定な複合体形成には、プロトスペーサーが、5塩基より長い3’末端一本鎖オーバーハングを持たないことが条件であった。
    • CRISPR遺伝子座への変異導入実験から、CRISPR遺伝子座に隣接するリーダー配列の存在の如何によらず、リピートのパリンドロミック・モチーフが1つ存在すれば、安定な三者複合体が形成されることが明らかになった。
  3. [論文] CRISPR/Cas9によるPAF53ノックアウト実験はPAF53が哺乳類細胞の生存に必須であることを示唆した
    • Corresponding author: Lawrence I. Rothblum (U. Oklahoma College of Medicine)
    • 栄養そしてまたは成長因子の欠乏下の哺乳類細胞では本質的にrDNAの転写が停止するが、1996年にPAF53が特定のrDNA転写に必須であり、PAF53のレベルが成長因子に制御されることが報告されていた(Hanada et al., 1996)。脊椎動物PAF53の酵母ホモログA49は、酵母の生存には必須ではないが“最適な増殖に必須”であると報告された(Wang et al., 2015)。研究チームは今回、PAF53が細胞生存に必須か否かを確定することを目的として、CRISPR/Cas9技術による遺伝子産物のノックアウト実験を行った。
      • ヒト293細胞においてPAF53の第2エクソンを標的とするsgRNAによるノックアウトを試みた。また、FLAG標識したマウスPAF53をコードしたプラスミドをCRIPR/Cas9システムと同時に感染させてその効果を見た。
      • ヒトのPAF53を発現しない細胞は、マウスPAF53の異所性発現が存在しない場合に限られていた。すなわち、細胞は、リコンビネーションまたはオルターナティブリーディングフレームを介した独特の機構によってPF53を発現し、PAF53が細胞生存に必須であることを示唆した。
  4. [論文] CRISPR/Cas9システムによって、分裂終了細胞におけるシナプトブレビン/シナプス小胞結合膜タンパク質(synaptobrevin/VAMP)機能を阻害
    • Corresponding author: Lisa M. Monteggia (U. Texas Southwestern Medical Center, )
    • Synaptobrevin 2(Syb2/VAMP2)を標的とするCRISPR/Cas9レンチウイルスを初代培養海馬ニューロンに感染させることで、Syb2タンパク質と免疫組織化学的染色を劇的に低減し、Syb2が多くの終末ボタン(boutons)で検出されなくなり、また、編集された初代培養海馬ニューロンがSyb2がノックアウトされたニューロンの表現型を再現することを見出した。
    • CRISPR/Cas9を高効率なレンチウイルスで感染させることで、ニューロンの大部分でSyb2をノックアウト可能であり、この手法は、分裂終了後ニューロンにおける細胞非自律的シナプス前の表現型の解析ツールと成り得る。
  5. [特許] Compositions comprising synthetic polynucleotides encoding CRISPR related proteins and synthetic sgRNAs and methods of use.
    • 発明者:Hoge, Stephen (Cambridge, MA, US); Yi-chun, Eric (Cambridge, MA, US); Chakraborty, Tirtha (Cambridge, MA, US)
    • 譲受人:Moderna Therapeutics, Inc. (Cambridge, MA, US)
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