crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[出典] "Bridge helix arginines play a critical role in Cas9 sensitivity to mismatches" Bratovič M [..] Charpentier E. Nat Chem Biol 2020-03-02. ; Max-Planck-Gesellschaft "New Cas9 variant makes genome editing even more precis"  2020-03-02

 オフターゲット編集の抑制やPAMの拡張を目的として、Cas9に変異を導入する試みが続いている。今回は、Emmanuelle Charpentierが率いるドイツを始めとするスエーデンおよびオーストリアの研究グループが、構造情報を参照し、in vitro生化学アッセイとEscherichia coliの生存試験 (survival assay)によって、オフターゲット編集を抑制する新たなCas9変異体を開発した。
  • Cas9によるDNA切断機構は、原子力間顕微鏡でのリアルタイム観察 (crisp_bio  2017-11-11 参照)などにより、下図 c にあるように、Cas9-gRNAによるPAM認識により二本鎖DNAが巻き戻されて標的鎖 (TS)にR-ループが形成され広がっていくことで、TSと非標的鎖 (NTS)が、Cas9の2つの触媒活性ドメインHNHとRuvCによって切断されDSBに至る、とされている。 2020-03-04 14.44.31
  • 研究グループは、R−ループ形成がCas9の中で保存性が高いHNHとRuvCを結合するブリッジ・ヘリックスに依存することを同定し、加えて、Cas9のオフターゲット編集活性に影響を及ぼす一連のアミノ酸残基を同定した。
  • R-ループの形成と安定に、2つのドメインのブリッジとなっているヘリックス部位に位置するR63とR66が貢献し、ミスマッチが存在するゲノム領域 (オフターゲット部位)でもR-ループの安定化に寄与するために、オフターゲット部位でもCas9が編集活性を示すに至ることを見出した。
  • 加えて、Q768が、PAMから遠位にミスマッチが存在するオフターゲット部位に対するCas9編集活性を発揮させるに至ることも見出した。
  • 種々の変異体をテストした結果、Cas9_R63A/Q768Aが、ヒト細胞においても、最も高い標的特異性 (最も強くオフターゲット編集活性を抑制)することを、発見した。
[Cas9への変異導入による高精度化関連crisp_bio記事]
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