(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2017/01/05

  • Corresponding author: 大石真也(京都大学)
  • Grb2は細胞内シグナル伝達を仲介するアダプタータンパク質である。Grb2は、EGFRその他のシグナル伝達分子のリン酸化チロシン(pY)を含むペプチドと相互作用するSH2(Src-homology 2)ドメインを有しており、抗癌剤の標的とされている。研究チームは今回、天然物およびその鏡像異性体からGrb2 SH2ドメインの新奇阻害剤を同定することを目的として、合成Grb2 SH2ドメインタンパク質の鏡像異性体の双方を対象とするスクリーニングシステムを開発した。天然物のほとんどには1種類の鏡像異性体しか存在しないが、合成によって2種類の鏡像異性体へと拡張したライブラリーをスクリーンの対象とすることが可能となる。
  • タンパク質の合成法として、2セグメントのペプチドを単一のネイティブ・ケミカル・ライゲーション(NCL)で結合する手法と、3セグメントのペプチドをN末からC末に向けてNCLする手法を試み、後者の効率が高いことを見出した。
  • Grb2 SH2ドメインのN末端またはAla115残基のラベル化によって、pYを含むペプチドとの結合を検出するプローブとなる。
  • 適切な条件下でフォールディングした合成タンパク質は、期待通りリン酸化されたEGFRに結合したが、天然のL-Grb2 SH2とD-Grb2 SH2タンパク質はそれぞれ選択的にL-ペプチドとD-ペプチドと相互作用した。