#2020-03-31 Meplazumabを17名に投与し11名をコントロールとしたオープンラベル・非同期的非無作為臨床試験で、ヒト化抗CD147抗体が顕著に症状を改善: Meplazumab treats COVID-19 pneumonia: an open-labelled, concurrent controlled add-on clinical trial. Bian H. medRxiv 2020-03-24 
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[出典] "SARS-CoV-2 invades host cells via a novel route: CD147-spike proteinWang K et albioRxiv 2020-03-14

 Fourth Military Medical University(西安)と北京理工大学の研究グループが、SARS-CoV-2のスパイク糖タンパク質 (S)が、ヒト細胞表面の受容体CD147/Basiginに結合し、SARS-CoV-2の細胞侵入ひいては増殖を促進するエビデンスをbioRixvに投稿した:
  • Vero E6細胞へのSARS-CoV-2感染実験において、用量反応曲線の取得とqPCRによるウイルスRNAレベル測定から、抗CD147ヒト化モノクローナル抗体 (抗CD147ヒト化モノクローナル抗体)がウイルスの複製を阻害することを同定した (Meplazumab(*) EC50値24.86 μg/mL, IC50値15.16 μg/mL)。
  • CD147とSの結合を、表面プラズモン共鳴法 (結合定数1.85E-07 M)、抗-CD147抗体(自製)と抗SARS-CoV-2 S抗体 (40150-R007, Sino Biological, China) に基づく共免疫沈降法 (CD147とSの受容体結合ドメインとの結合)、およびELISAのデータが示唆した。
  • MeplazumabとSの拮抗阻害実験において、MeplazumabがSのCD147への結合を阻害することを見出した (IC50値 16.44 μg/mL)。
  • 免疫電子顕微鏡法によって、SARS-CoV-2もCD147も共に、主としてVero E6細胞のウイルス封入体に局在することを見出した。
 SARS-CoV-2がSARS-CoVと同様にACE2を利用するエビデンスが積み重なってきているが、ACE2を標的とする場合は、ACE2が肺以外の組織にもひろく存在して機能を発揮しており、また、肺でのACE2阻害が肺に重篤な損傷を与えるリスクを伴うことに留意する必要がある。そこで、ACE2とは異なるCD147ならびにCD147とSとの相互作用が創薬開発の標的候補としてあがってきたことは意義深い。

 [注*] 
Meplazumabについては、西安のTang-Du Hospitalが、新型コロナウイルスを対象とする第1/2相試験を2020-02-19に、ClinicalTrials.govに登録していた (NCT04275245: Clinical Study of Anti-CD147 Humanized Meplazumab for Injection to Treat With 2019-nCoV Pneumonia)

[参考: CD147と結合する分子に関する論文]
[更新履歴]
# 2020-03-16修正: ご指摘があり、抗CD147ヒト化モノクローナル抗体の具体名の誤りを修正致しました (メポリズマブ  → Meplazumab)。
#2020-03-16 第1/2相試験へのリンクを追加
#2020-03-15 初稿