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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[出典] "Using antagonistic pleiotropy to design a chemotherapy-induced evolutionary trap to target drug resistance in cancer" Lin KH, Rutter JC [..] Puissant A, Wood KC. Nat Genet 2020-03-16.

 拮抗的多面発現はantagonistic pleiotropyの訳であり、特定の環境に有利な形質を獲得することで適応した生物が、環境の激変に遭遇し、隠れていた形質のトレードオフが顕在化し、環境に不適応になり、進化的トラップ(evolutionary trapの訳)の状態に至ることを意味する。
  • Duke University, Université de Paris, Brown University, Universidade Federal do Rio de Janeiro, Hôpital Saint-LouisならびにBrown Universityの研究グループは、薬剤耐性を獲得する癌細胞はこの進化トラップに陥るとする仮説をたて実験を進めた。
  • 抗癌剤9種類を投与するAML細胞のCRISPR-Cas9 KOスクリーニングから、PRC2–NSD2/3を介したMYCシグナル伝達経路が、ブロモドメイン阻害とBCL-2阻害の拮抗的多面発現に相当するパスウエイであることを同定した。
  • 続いて、種々のAML細胞株および患者由来異種移植モデルマウスにおいて、AML細胞がこのパスウエイを介してブロモドメイン阻害への耐性を獲得すると同時にBCL-2阻害に対して極めて高い感受性を獲得することを見出した。
  • 同一パスウエイの拮抗的多面発現と進化的トラップを探ることで、化学療法の新たな戦略が見えてくる。
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