2022-11-05 本ブログ記事内の「SARS-CoV-2の起源」の最後の段落の記述が由来する2種類の論文の書誌情報を該当部分に追記。
[注] 本記事を表示させているブラウザー上で、"[*] 2023-11-05追記"で検索することで、該当部分へ直行できます。 
2022-03-26 華南海鮮市場における感染初期のスワブデータから見えてきたこと - 新型コロナウイルスのコウモリからヒトへの感染をタヌキが仲介した?
[出典] "COVID-origins study links raccoon dogs to Wuhan market: what scientists think" Mallapaty S (Senior reporter). Nature 2023-03-22. https://doi.org/10.1038/d41586-023-00827-2
 これまでの研究により、SARS-CoV-2の前駆体はおそらくコウモリに由来すると見られているが、コウモリから人へどのように伝染したかは明らかではない。科学者たちは、コウモリからヒトへとウイルスを仲介した中間宿主が関与していると考えているが、その証拠は見つかっていない。このことは、武漢のウイルス研究所から故意または偶然にウイルスが流出した仮説の論拠の一つとされている。
 今回、米国を中心に、フランス、オーストラリア、ベルギー、英国、カナダが加わった国際研究チームが、中国武漢の華南海鮮卸売市場で販売されていたタヌキraccoon dog)が中間宿主である可能性を示唆する報告を、3月20日に研究用レポジトリーのZenodo から公開した。国際研究チームは、「この報告は、3月11日にWHOに最初に伝えられ、3月14日にWHOの新規病原体の起源に関する科学諮問グループ(WHO’s Scientific Advisory Group on the Origin of Novel Pathogens: SAGO)に提出されたが、3月16日にThe Atlantic がその概要を報道したことを受けて、Zenedo から公開した」としている。また、「Zenodo に登録したことは、学術誌への掲載を目的としたものではない」としている。
 国際研究チームの今回の報告は実は、中国CDCの元所長のGeorge Gaoを筆頭著者とする研究チームがResearch Square に投稿したプレプリント [*] がきっかけになっている。この投稿に注目した各国の研究者のデータ提供の要望に対して、研究チームからのデータ提供は行われなかったが、国際研究チームの Florence Débarre が、公共データベースGISAID国立遺伝学研究所のサイトから) でたまたま相当するデータを発見した。スクリーンショット 2023-03-26 11.39.18そこで、約50のサンプルからの合計で約500 GBのデータをダウンロードしたが、このデータには、2020年1月から2月にかけて、排水溝、市場の屋台、環境(地面)から採取されたSARS-CoV-2の陽性反応が出たほぼすべてのスワブが含まれた [注] Zenodo 投稿のスワブ分布図引用右図参照;この一連のデータのアクセスは、データ更新中ということで、現在、アクセスが制限されている [SAGO statement on newly released SARS-CoV-2 metagenomics data from China CDC on GISAID 2023-03-18
 国際研究チームは、ウイルスの中間宿主となりうる哺乳類の痕跡を探し、タヌキ(Nyctereutes procyonoides )、マレーヤマアラシ(Hystrix brachyura )、アムールハリネズミ(Erinaceus amurensis )、ハクビシン(Paguma larvata )、タケネズミ(Rhizomys pruinosus )の5種で、ほぼ完全なミトコンドリアDNA配列(それぞれ約16,000塩基対長)の確認に成功した。
  特に注目されたのは、2つの屋台から採取した6つのサンプルから見つかったタヌキのミトコンドリアDNAである。タヌキはSARS-CoV-2に感染しやすく、明確な病気の兆候を示さずに他のタヌキに感染を広げてしまうことが報告されている。また、タヌキとハクビシンは、SARS-CoV-2に関連し、2003年に人々に大流行をもたらした重症急性呼吸器症候群の原因ウイルスSARS-CoV(またはSARS-CoV-1)とほぼ同じウイルスの感染が確認されている。また、これまでの研究から、2017年5月から2019年11月にかけて、華南市場で中国のタケネズミとタヌキが販売されており、いくつかの屋台で生きた哺乳類や殺したばかりの肉製品などを販売していたと考えられている。
 SARS-CoV-2陽性サンプルの大部分と野生動物のDNAを含むサンプルの大部分は同じ地域で発見され、また、市場の東側セクションから採取された陽性スワブの多くにはヒトのDNAが含まれていた。一方で、檻を移動させるための台車から採取したあるサンプルからは、タヌキのゲノムと一致する配列が発見されたが、ヒトのゲノムと一致する配列はほとんどなかった。
 今回の国際研究チームの報告により、そのスワブにSARS-CoV-2が存在した野生動物が市場に存在したことが改めて明らかになったが、依然として、COVID-19パンデミックを引き起こしたSARS-CoV-2のヒトへの感染経路を確定するには至っていない。例えば、タヌキからヒトへ感染したと断定するにはまだデータが不十分であり、ヒトからタヌキに感染した可能性もゼロではない。
 
[*] 中国チームのResearch Square 投稿
華南海産物市場におけるSARS-CoV-2の流行
[出典] “Surveillance of SARS-CoV-2 in the environment and animal samples of the Huanan Seafood Market” George Gao, William Liu, Peipeo Liu et al. [著者所属] Chinese Academy of Sciences, China CDCなど. Research Square 2022-02-25. https://doi.org/10.21203/rs.3.rs-1370392/v1
[注] 2022年2月25日にResearch Squareに投稿されたプレプリントは現在「査読中(under review)」とラベルが付されている。査読付き論文として学術雑誌に受理されるには、ウイルスの配列データが公開デーベースから一般に公開されていることが前提である。ただし、著者は論文が刊行されるまで、データベースからの公開をサスペンドすることが許されている。
 2019年12月に出現したCOVID-19は、やがてパンデミックとなり、世界の公衆衛生に多大な脅威を与えている。しかし、SARS-CoV-2の起源は、依然として不明である。
 これまでに、初期症例のクラスターの一定数が華南海鮮市場と接触歴があったことが報告されている。したがって、同市場内でのSARS-CoV-2のサーベイランスが極めて重要である。
 ここでは、2020年初頭に市場内の環境と動物から採取した1,380サンプルのSARS-CoV-2検出結果を発表した。SARS-CoV-2特異的RT-qPCRにより、73件の環境サンプルでSARS-CoV-2の陽性反応が得られ、3つの生きたウイルスの分離に成功した。市場からのウイルスは、ヒト分離株HCoV/Wuhan/IVDC-HB-01と99.980%~99.993%のヌクレオチド同一性を有していた。
しかし、市場内の18種の動物を対象とした動物用スワブからは、ウイルスは検出されなかった。
 陽性の環境サンプル中のSARS-COV-2核酸は、ホモサピエンスの存在量とSARS-CoV-2の存在量に有意な相関があることが示唆した。
 以上のことから、本研究は、COVID-19の発生初期に華南海鮮市場でSARS-CoV-2が流行していたことを証明する有力な証拠を提示した。

2022-07-29
Science 誌から「華南海鮮市場がCOVID-19パンデミックの震源地である」とする論文とその姉妹論文の2報が first release
(プリント版よりも4~6週間先行してオンライン公開)された.

1. 華南海鮮市場がCOVID-19パンデミックの震源地である
[出典] "The Huanan Seafood Wholesale Market in Wuhan was the early epicenter of the COVID-19 pandemic" Worobey M [..] Andersen KG. Science. 2022-07-26. https://doi.org/10.1126/science.abp8715
 2019年にSARS-CoV-2がどのように出現したかを理解することは,COVID-19に続く人獣共通感染症のパンデミックを予防するために重要である.中国武漢の華南海鮮市場が,初期の報告で,発生源である可能性が高いとされたが,後にこの結論について議論が続くことになった.
 著者らは今回,2019年12月からの最も早い既知のCOVID-19症例が,直接の関連が報告されていないものを含めて,地理的に華南海鮮市場を中心としていたことを示した.2019年後半に,この市場で,生きたSARS-CoV-2感受性哺乳類が販売され,市場内で,SARS-CoV-2陽性の環境サンプルが,生きた哺乳類を販売する業者と空間的に関連していた [Fig. 5 参照].
 それよりも上流のイベントを定義する十分な証拠はなく,正確な状況は不明瞭なままではあるが,今回の分析は,SARS-CoV-2の出現が中国における生きた野生動物の取引を介して起こったことを示し,華南海鮮市場がCOVID-19パンデミックの震源地であることを示した.
 
2. COVID-19は,2019年11月から12月にかけて,SARS-CoV-2の2種類の系統がそれぞれヒトに感染することから始まった
[出典] "The molecular epidemiology of multiple zoonotic origins of SRAS-CoV-2" Pekar JE [..] Suchard MA, Andersen KG, Worobey M, Wetheim JO. Science 2022-07-26. https://doi.org/10.1126/science.abp8337 
 著者らはCOVID-19パンデミックの初期のSARS-CoV-2ゲノムの多様性を解析し,2020年2月以前のSARS-CoV-2は,AおよびBと呼ばれる2つの異なるウイルス系統のみであったと判断した [Fig. 1参照].
 系統力学とシミュレーションによって,B系統とA系統は,異なる時期に,野生動物からヒトへとジャンプしたと推定された.最初の人獣共通感染症は,2019年11月18日 (10月23日~12月8日)頃に,B系統のウイルスが関与したと考えられ,A系統のヒトへの導入は,このイベントから数週間以内に起こった可能性が高い.
 これらの知見は,SARS-CoV-2が2019年11月以前にヒトに広く循環していた可能性は低く,SARS-CoV-2が初めて種の壁を越えてヒトに感染した時期とCOVID-19の最初の患者が報告された時期の間隔が短いことを示唆した.他のコロナウイルスと同様に,SARS-CoV-2の出現は,多重な人獣共通感染症の事象に起因している可能性が高い.
 
2021-10-02 2021年9月までに発表された関連論文やレビューを紹介したcrisp_bio記事リストを以下に追加: 
2020-03-28 初稿
[出典]
COMMENTARY "A Genomic Perspective on the Origin and Emergence of SARS-CoV-2" Zhang YZ, Holmes EC. Cell 2020-03-26

 新型コロナウイルスのゲノム解析に当初から携わってきた復旦大学とシドニー大学の研究者がSARS-CoV-2の起源と発生について解説した。責任著者のEdward C. Holmesはウイルス進化学を専門とし、 "The proximal origin of SARS-CoV-2 (Nat Med 2020-03-17)" と "Identifying SARS-CoV-2 related coronaviruses in Malayan pangolins (Nature 2020-03-26)"などの新型コロナウイルス・ゲノム解析に関する論文の共著者である。この解説の内容は、これまでの論文の内容と重なっている [crisp_bio記事 "新型コロナウイルス・ゲノムにみられる際立った特徴とセンザンコウ由来CoVのデータから、人為説を否定" 参照]

新型ヒトコロナウイルス (SARS-CoV-2)の出現

 COVID-19の発生
  • SARS-CoV-2が引き起こす感染症COVID-19の発生は2019年12月下旬に初めて報告されたが、遡及調査の結果、12月1日まで遡ることができた。
  • SARS-CoV-2感染者は世界各国で日々増加していることから、ここでは具体的な数値はあげないが、無症状あるいは症状が軽い感染者は見逃されていることから、実際の感染者数は報告数より相当に多く、したがって、報告されている致命率 (case fatality rate: CFR)は実際よりも高く出ている。
  • 致命率はまた、地域、年齢層、時間的に変動しているように見えるが、どの要因がどのように致命率に影響を与えているかは、大規模な血清検査のデータが揃わないと、解析困難である。
  • その上でSARS-CoV-2感染の致命率について言えることは、季節性インフルエンザよりは高く、2002-2003年のSARSアウトブレイクと2015年以来主としてアラビア半島で続いているMERSアウトブレイクよりは低い、ということである。一方で、SARS-CoV-2は、SARS-CoVとMERS-CoVよりは感染力が強く、その頻度については不明であるが無症状または発症前の感染者からも感染が拡がる。
 COVID-1619の拡がり
  • COVID-19発生早期から、野生動物の売買も行われている武漢華南海鮮卸売市場(いわゆるウエット・マーケットの一種)との関連が指摘されていた。確かに、SARS-CoV-2は疑いもなく動物由来であることから、この指摘は合理的である。また、マーケット由来の多数の"環境サンプル"のゲノムが、初期の武漢患者に由来するSARS-CoV-2ゲノムに極めて近縁であることが、系統解析から明らかになっている。
  • しかし、初期のCODIV-19が全てウエット・マーケット由来とは言い切れず、複雑な経路を経て感染が拡がってきた可能性があり、また、ウエット・マーケット内で、野生動物からヒトへと直接ジャンプしたか、市場関係者が無意識のうちに外部から持ち込んだのかも、ウエット・マーケット内の野生動物から直接サンプリングができなかったため、今となっては、特定はほとんど不可能である。
 SARS-CoV-2ゲノム解析のはじまり
  • 著者らは、2019年12月26日に武漢中央病院に収容された患者 (1名)のサンプルから、次世代メタ・トランスクリプトミック・シーケンシングによって、2020年1月5日に全ゲノム配列を決定し、SARS様ウイルス (Coronaviridae科)と密接に関連していることを明らかにし、さらにアノテーションを加えて同日にNCBI/GenBankに登録した (Wuhan-Hu-1株/MN908947)。その後、Virological Webサイト (http://virological.org/)、続いて、GISAID (https://www.gisaid.org/) Webサイトから公開された。
SARS-CoV-2と他のコロナウイルス (CoV)との比較
  • SARS-CoV-2はゲノム解析から、SARS-CoVを含むBetacoronavirus属のSarbecovirus亜属に属することが明らかになった。SARS-CoV-2とSARS-CoVのゲノムは塩基レベルで類似度~79%であったが、類似度は遺伝子ごとに大きく変動し、宿主細胞への感染に決定的な役割を果たすスパイク (S)タンパク質については~72%であった。
  • コウモリの一種であるRhinolophus affinis (馬蹄形の鼻を帯びたコウモリ)のCoV 'RaTG13'とSARS-CoV-2のゲノム類似度は~96%であるが、ウイルスの機能に影響を及ぼすと思われる領域には大きな違いが存在する。
  • その中で特記すべきは、SARS-CoV-2ゲノムには、Sタンパク質のS1サブユニットとS2サブユニットの境界に、フーリン切断配列 (PRRA)が挿入されていることである。この挿入は他のβCoVには見られず、HCoV-HKU1を含む他のヒトCoVおよび病原性が強い鳥インフルエンザウイルスに見られる。
  • 興味深いことにR. affinisとは異なるRhinolophusコウモリ由来のCoV (RmYN02)のS1/S2切断部位にアミノ酸配列PAAが挿入されていることが最近明らかにされた。RmYN02は、Sタンパク質から見るとSARS-CoV-2から遠縁であるが (類似度 ~72%)、レプリカーゼ遺伝子の類似度は高い (~97%)。
  • もう一つ特記すべきは、SARS-CoV-2とRaTG13の宿主細胞表面の受容体に結合するドメイン (receptor binding domain: RBD)の類似度は~85%に留まる一方で、SARS-CoV-2のRBDはSARS-CoVのRBDと同じくヒト細胞受容体ACE2への結合親和性が高いことである。
  • SARS-CoV-2はSARS-CoVとMERS-CoVはゲノム配列上では近縁であるが、感染の拡がり方が全く異なり、特にMERS-CoVのヒト・ヒト感染は極めて稀である。
SARS-CoV-2の起源
  • コウモリがRaTG13とRmYN02を含む広汎にわたるCoVのリザーバーであることには、疑う余地が無い。また、現時点では、ゲノム配列からみて、SARS-CoV-2に最も近縁のCoVは、武漢から1,500 km以上離れている雲南省で捕獲されたコウモリ由来である。一方で、湖北省のコウモリから分離されたCoVは比較的少数でSARS-CoV-2とは比較的遠縁である。また、今見ているコウモリCoVのゲノムは20年あまりの進化の結果であることから、サンプリングを拡大することで、SARS-CoV-2により近縁のコウモリCoVが発見される可能性が高い。さらにコウモリに限らず、他の動物種が帯びているCoVも含めて、RBDの特徴ならびにS1/S2の境界にフーリン切断配列が挿入されている特徴に注目した比較解析が望まれる。
  • コウモリはCoVsの宿主ではあるが、コウモリとヒトは生態学的に分離されていることから[*]、SARS-CoV-2は中間宿主(増幅宿主)において、ヒトへの効率的な感染能を獲得した可能性がある。SARSとMERSの場合は、それぞれ、ジャコウネコとラクダが中間宿主である。なお、MERSは数十年ラクダに存在していたが、真のリザーバー宿主は別の動物種と考えられる [* NHK BS世界のドキュメンタリー「見えざる病原体」(2020-03-28再放送)では、「コウモリの生活圏へのヒトの進出で、コウモリが餌を求めて畑の作物を狙ってくるようになった」としていた]
  • SARS-CoV-2の中間宿主の特定には、ウエット・マーケットで扱われている野生動物またはヒトの生活圏に近いところに生息している野生動物について幅広く解析することが、必要である。最近、広東省と広西省に南アジアから密輸入されたMalayan pangolins (センザンコウ)から分離されたCoVがSARS-CoV-2のRBDの特徴的な6種類の変異を共有していることが明らかになったことも、もっと多様なコウモリ、もっと多様な動物種、についてCoVを解析する意味を示している。
  • 著者らの経験から、ヒトに感染するSARS-CoV-2の発生には、リザーバ宿主と中間宿主の双方における変異が必要と判断するが、2019年12月に感染が認識される以前のヒト・ヒト感染の間に変異を獲得した可能性を否定できない。SARS-CoV-2の感染はかならずしもはっきりと独特の症状を示さず、また、肺炎の症状があっても新たなCoVとは認識されないまま、ヒト集団で拡散する過程で、ヒト感染への最適化が進行した可能性がある。しかし今後COVID-19の感染の拡がりを、血清学およびメタゲノムにより遡及解析したとしても、この「見えざる」初期段階を特定することはほとんど不可能と思われる。
  • これまで論じてきた宿主動物からヒトへと伝播する間の変異の蓄積に加えて、進化の過程での組換えについても論じる必要がある。Sタンパク質の領域を含むゲノム上のさまざまな領域で組換が起きたことが知られている。例えば、SARS-CoV-2, RaTG13およびセンザンコウCoVの間での組換えが起きたエビデンスが報告されている [*1]。また、RmYN02のゲノムが組換えを経た結果であるというエビデンスも報告されている [*2]。しかし、組換を祖先ウイルスまで遡及することは困難であり、これにもまた、広汎なCoVゲノムの解析が必要である。

    [*] 2023-11-05追記

    1. Lam TT-Y, Jia N, Zhang Y-W , Shun MHH, Jiang J-F, Zhu H-C, Tong Y-G [..] Guan Y, Cao W-C. "Identification of 2019-nCoV related coronaviruses in Malayan pangolins in southern China" (bioRxiv 2020-02-18)  Nature 2020-03-26.  "More notable, however, was the observation of putative recombi- Guangdong pangolin is consistent with that of the remainder of the viral nation signals between the pangolin coronaviruses, bat coronavirus genome, rather than being the closest relative of SARS-CoV-2 (Fig. 3b). RaTG13 and human SARS-CoV (Fig. 2)."

    2.  Zhou H, Chen X, Hu T [..] Hughes A, Bi Y, Shi W. "A Novel Bat Coronavirus Closely Related to SARS-CoV-2 Contains Natural Insertions at the S1/S2 Cleavage Site of the Spike Protein" Current Biology 2020-05-10. "RmYN02 contains an insertion at the S1/ S2 cleavage site in the spike protein in a similar manner to SARS-CoV-2."
ヒト集団内での伝播過程でのSARS-CoV-2の変異
  • RNAウイルスは高頻度で変異することが知られている。CoVの変異は、その3′-to-5′エクソリボヌクレアーゼによる校正機能により低頻度とされているが、複製が高頻度なことで、一定期間を経過した後の塩基置換の頻度は、他のRNAウイルスと同程度のように見える。この変異頻度が、アウトブレイクの間に、感染性と毒性を高めるあるいは弱めるという可能性は低いと思われるが、再興感染症を引き起こす可能性を帯びていることから、アウトブレイクの間の遺伝変異と表現型の変化を追跡する必要がある。しかし、パンデミックの状態で、全てのサンプルのゲノム解析は非現実的であり、サンプリングでの解析になることから、解析結果の解釈は注意深く行うことが肝要である。
  • いずれにしても、COVID-19の沈静化は、CoVの変異ではなく、ヒト集団の免疫力の向上と疫学的制御によってもたらされるであろう。
結語
  • 新興感染症の予防には、野生動物が帯びている病原体との接触をできる限り避けることが、最も確かで費用対効果比が高い策であるが、動物界とヒト世界の間を遮断することは不可能である。
  • しかし、野生動物の違法な貿易を厳しく取り締り、ウエットマーケットから野生の哺乳類動物と鳥類を排除することが、現実的で有効なバッファーとして機能するであろう。