[出典] "Highly efficient CRISPR-SaKKH tools for plant multiplex cytosine base editing" Zhang C [..] Yang J. Crop J 2020-03-21

 北京農林科学院の研究グループはSaCas9変異体 (SaKKH)ニッカーゼSaKKH (D10A), SaKKHn, を組み込んだCBE, SaKKHn-pBE, によりイネにおけるC-to-T変換の可能性を広げた。
  • B. P. KleinstiverとJ. Keith Joungらが作出したSaKKH [*]は、野生型SaCas9のNNGRRTよりも自由度が高いNNNRRTをPAMとして認識し、また、高活性を維持している変異体であり、SpCas9またはその変異体のxCas9とCas9-NGが認識できないHHHAAT (H = A, T, or C)  PAMのサイトを編集可能である。このため、SaKKHに基づくCBEによる動植物の塩基編集が拡がってきたが、イネについてはPAMとして、NNNRRTの中でNNNAATとNNNGGTの2種類のPAMについて有効であるが、NNNAGTとNNNGATの2種類については、無効であった
  • 研究グループは、SaKKHn+PmCDA1+UGIの構成のCBEに、(tRNA-sgRNA)nを組み合わせることで、多重 (N重)編集を試みた。
  • OsPDS, OsWaxy, OsGRF4, OsALS, OsMPK5, OsNRT1.1B, およびOsMPK2の7遺伝子の27サイトを標的として検証実験を行い、C-to-T置換が実現しなかったサイトが4ヶ所存在したが、残る23ヶ所について、サイトによって置換効率は大きく変動 (2.5 - 75%)するが、NNNRRTの全てのPAMについて置換が実現することを確認した。
  • この検証実験において、C-to-T変換が起こる範囲 (ウインドウ)が、プロトスペーサの5'末端を基準として1から15までに拡がっていたが、主として4-9の範囲であることが見えてきた。また、C-to-Tへの変換が起こりやすい配列コンテクストいついては、NCの並びの中で、CC > TC ≫ GC > AC (主としてCCとTC)の傾向があることを見出した。変異の型は殆どが単一のC-to-T置換であった。
  • また、SpCas9の編集効率がsgRNAの伸長によって向上したことにならって、伸長 (3-bpと5-bp)を試み、3-bp伸長によって特に置換効率が向上することを見出した。
 SaKKHn-pBEは、今回得られた知見をもとにしたさらなる最適化が可能であり、また、ABEおよびPE (Prime Editing)への展開も可能である。

[*] SaKKH関連crisp_bio記事
  • 2019-05-22 Cas9改変によりCBEmax/ABEmaxの標的可能領域拡大 - [NNNRRT PAMsを認識する変異型SaCas9 (SaKKH)に基づくABEmaxも評価 (効率 ~26%)]
  • CRISPR関連文献メモ_2015/12/11 #3 PAMの多様化を許す変異導入によってStaphylococcus aureus Cas9 (SaCas9)による編集可能ゲノム領域を拡大 - [ランダム変異導入実験からNNNRRTを認識し高活性なSaCas9 KKH (E782K/N968K/R1015H)変異体を同定]