[出典] "Orthogonal genome-wide screenings in bat cells identify MTHFD1 as a target of broad antiviral therapy" Anderson DE, Cui J, Ye Q, Huang B [..] Wang LF, Tan X. bioRxiv 2020-03-30
コウモリは人畜共通感染性コロナウイルス (CoV)の宿主として知られている。例えば、ジャコウネコを介してヒトに感染したとされるSARS-CoV、ヒトコブラクダを介してヒトに感染したとされるMERS-CoVである (Nature Review Microbiology掲載レビュー [1] Fig. 2 参照)。
そこで、コウモリが多様なCoVsの宿主足り得る謎の解明が続けられているが [2]、Duke–NUS Medical School (シンガポール)と清華大学を主とする研究グループは今回、ウイルス感染に関与するコウモリ宿主因子の同定を、オオコウモリを代表するPteropus alectoにおいて試みた。
- はじめに、A型インフルエンザウイルス (IAV)とmumps virus (おたふくかぜウイルス)のP. alectoイタの腎臓由来PaKi細胞 [3] への感染実験をそれぞれ、ゲノムワイドCRISPRスクリーンと、ゲノムワイドRNAiスクリーンにより、行った。
- PaKi細胞でのCRISPRノックアウト・スクリーンには、21,334遺伝子を標的とする85,275 sgRNAsのライブラリーを、RNAiノックダウン・スクリーンには40,016 siRNA duplexのライブラリを使用した。 [Figure 1-a/c 引用下図参照]

- 双方のスクリーン結果はいずれも、ウイルス複製に、エンドサイトーシスのパスウエイとタンパク質分泌パスウエイが必須であることを示した。
- 加えて、PaKi細胞でのいずれのスクーン結果にも共通して、テトラヒドロ葉酸合成遺伝子, MTHFD1, がウイルス複製の必須遺伝子であることが浮かび上がってきた。また、MTHFD1がヒトHEK293T細胞におけるウイルス複製にも必須であるが、コウモリでのMTHFD1の発現がヒトのそれより低レベルであることを見出した。
- 次に、MTHFD1阻害剤carolacton [4] がPaKi細胞において、IAVとmumps virusだけでなく、Melakaウイルス、Zikaウイルスに加えてSARS-CoV-2の複製を阻害することを見出した。ヒトHEK293細胞についても同様の結果を得た [Figure 4引用下図参照]。

また、宿主細胞は、MTHFD1阻害に対して、ウイルスに優る耐性を帯びていることも見出した。
引用文献リスト
- [1] REVIEW "Origin and evolution of pathogenic coronaviruses" Cui J, Li F, Shi ZL. Nat Rev Microbiol 2018-12-10.
- "MHC class II proteins mediate cross-species entry of bat influenza viruses" Karakus U, Thamamongood T [..] Schwemmle M, Stertz S. Nature 2019-02-20.
- "Establishment, immortalisation and characterisation of pteropid bat cell lines" Crameri G [..] Wang LF. PLoS One 2009-12-11; Table 1 List of organs used for this study and status of immortalisation and cloning.
- "The natural product carolacton inhibits folate-dependent C1 metabolism by targeting FolD/MTHFD" Fu C, Sikandar A, Donner J [..] Wagner-Döbler I, Koehnke J, Müller R. Nat Commun 2017-11-16.
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