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[出典] "Accurate MRSA identification through dual-functional aptamer and CRISPR-Cas12a assisted rolling circle amplification" Xu L [..] Li Z. J Microbiol Methods 2020-04-11
[crisp_bio注] 略号: SA (Staphylococcus aureus); MRSA (メチシリン耐性黄色ブドウ球菌/Methicillin-Resistant SA); 

 MRSA感染の早期発見と早期治療を実現するために、これまでの手法に代わり、臨床検体から直接に迅速かつ超高感度で検出する手法が求められている。中国人民解放軍総医院 906)にハルビン医科大学第2病院が加わった研究グループは今回、アプタマーをMRSAの捕捉及びそのシグナル増幅に活用し、ローリングサークル増幅 (rolling circle amplification, RCA)にさらにCRISPR-Cas12aコラテラル切断活性に基づくDETECTR流のシグナル増幅を加え、レポータ分子の発光による判定を可能とした。

アプタマー
  • アプタマーの実体は、SELEX法で作り出された一本鎖オリゴヌクレオチド (DNAまたはRNA)であり、2次/3次構造をとって、水素結合、塩橋、ファンデルワールス力、疎水的相互作用、静電相互作用を介して、特定のタンパク質、低分子、イオン、毒性分子さらには細胞にも結合可能である。
  • アプタマーはいわば化学的抗体であるが、抗体に比べて、より安定であり、操作が容易であり、さらに、シグナル増幅に利用可能である。
2種類のアプタマー > RCA > Cas12aのコラテラル切断活性
  • MRSAのマーカとして、MRSAとSAに共通に共通して細胞壁に存在するプロテインAと、メチシリン耐性をもたらすペニシリン結合タンパク質PBP2aを利用する。すなわち、ssDNAライブラリーから選択したプロテインA特異的アプタマー (以下、Apt A)とPBP2特異的アプタマー (以下、Apt B)とを利用する。
  • Apt-Aは、ストレプトアビジン磁気ビーズ (SMBs)を連結しておくことで、アプタマーAが結合したバクテリアを磁気で分離する役割を担う。
  • Apt-Bは、そのPBP2aが結合する領域を相補的なブロッカーで占有させておくことで、Apt-BがMRSAの表面上のPBP2aを認識・結合後に遊離してくるブロッカーをプライマーとし、Padlockをテンプレートとして、等温RCAを進行させ、ブロッカーと相補的な配列を大量に発生させる。
  • さらに、RCA産物のssDNA (以下、シグナル)を、DETECTR流で、レポータの発光へと変換することで、さらに、シグナルを増幅する。
  • このRCAとCas12aコラテラル活性を利用したシグナル増幅の二重の増幅によって、高精度・高感度な検出が実現した。
評価
  • MRSAに感染していないことを確認した血液サンプルに、異なる量のMRSA細胞をスパイクし、今回の蛍光強度での判定と、従来のコロニーカウントでの判定が整合することを確認した。また、臨床検体についても、両者の結果が整合した。
  • また、本手法にもとづいて、廉価なPOCTを実現することが可能である。
[Cas12aによる分子検出関連crisp_bio記事]
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