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[出典] "eIF5B drives integrated stress response-dependent translation of PD-L1 in lung cancer" Suresh S [..] O’Donnell KA. Nat Cancer 2020-04-20

 癌細胞は、活性化T細胞の表面に発現するPD-1のリガンドであるPD-L1を高発現し、PD-L1のPD-1への結合を介してT細胞の活性を抑制し、抗腫瘍免疫応答を逃れる。このPD-1/PD-L1を阻害する免疫チェックポイント阻害 *が近年、肺癌患者 (非小細胞肺癌/NSCLS)の第一選択療法として認められた。しかし、癌細胞におけるPD-L1の発現機構の解明は進んでいなかった [* オプジーボ (nivolumab), キイトルーダ(pembrolizumab), およびテセントリク(atezolizumab)]。
 UT Southwestern Medical Centerの研究グループは今回、ヒト肺癌細胞において、ゲノムワイドCRISPR-Cas9 KOスクリーニングにより、PD-L1の発現を調節する因子を探索し、ヘム生合成の阻害がPD-L1の発現を誘導することを見出した。

PD-L1の発現を抑制する因子のトップヒットはヘム生合成に関わるURODであった
  • H358細胞株を対象とするゲノムワイド・スクリーニングからPD-L1の発現を正に調節する一連の因子と負に調節する一連の因子を同定した。興味深いことに、負に調節する因子の後トップヒットは、ヘム生合成経路の5番目の酵素をコードするUROD遺伝子であった。
  • 続いて、URODの機能をH2030細胞株とCALU-6細胞株におけるCRISPR-Cas9によるURODノックアウト実験で検証した。その結果、UROD KO細胞において、PD-L1 mRNAレベルが低下した一方で、PD-L1の発現レベルが向上することを見出した。したがって、PD-L1 の翻訳抑制が転写後調節を介してPD-L1を誘導することが示唆された。
  • さらに、免疫応答性C57BL/6マウスにおいて、Urod欠損肺腺癌細胞の増殖速度が、コントロール細胞よりも顕著に速いが、免疫不全マウスにおいては同程度であった。また、腫瘍浸潤リンパ球 (TIL)染色実験なども加え、マウスにおいてUrod欠損が、PD-L1の発現亢進とCD8陽性TILの抑制を介して、in vivoでの腫瘍形成を促進するとした。
UROD阻害/ヘム生合成阻害は統合的ストレス応答を活性化しPD-L1翻訳を促進する
  • ヘム生合成の阻害は、低酸素、毒素または栄養飢餓状態といったストレスに応答する統合的ストレス応答 (integrated stress response, ISR)を誘導し、このISRによって、PD-L1の5'UTRにおける上流オープンリーディングフレーム (Upstream Open Reading Frame : uORFs)からの抑制が外れ、PD-L1の翻訳が亢進し、抗腫瘍免疫応答を抑制するに至る。
  • ここで、ISR依存性PD-L1翻訳に関する因子をsiRNAs実験により探索し、翻訳開始因子eIF5Bを必須因子と同定した。また、TCGAデータベースの解析から、eIF5Bの高発現がヒト肺腺癌患者の予後不良と相関し、肺腺癌の20%近くがeIF5Bの増幅またはmRNAの発現上昇を伴うことを見出した。
  • さらに、ヒト肺癌細胞において、eIF5Bの過剰発現がPD-L1 mRNAの発現上昇やISR活性化が進行しなくても、PD-L1タンパク質誘導に十分であることを見出した。
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