[出典] "SMOOT libraries and phage-induced directed evolution of Cas9 to engineer reduced off-target activity" Cerchione D [..] Steinberg BE. PLoS One 2020-04-16.
Editas Medicineの研究グループは今回、多様性が極めて高いSpCas9変異体ライブラリーを構築可能とするSMOOT (scanning mutagenesis of oligo-directed targets)法を開発し、M13 ファージ・ディスプレイー法に準拠して正の選択と負の選択を繰り返すことで、特定のゲノム配列に対してCas9の活性を亢進あるいは抑制することを試みた (Fig. 2から引用した下図「SMOOTとファージディスプレイ法を組み合わせたワークフロー 」参照)。

- 3ラウンドを経たところで顕著にエンリッチされる変異4種類を同定し、その後のラウンドでは変異がランダムに発生して新たにエンリッチされる変異が現われなかった。そこで、3ラウンドまでに得られた変異4種類について、T細胞を対象とするゲノム編集で評価した (4変異についてFig. 3引用下図参照)。
- その結果、最も高精度なCas9変異体 (D23A/T67L/Y128V/D1251G)を同定し、これをSpartaCas (S. pyogenes Adapted to Reduce Target Ambiguity Cas9)と命名した。SpartaCasが帯びている変異は、これまでの高精度SpCas9には見られない変異であった。
- HiFiCas9, eSpCas9およびWT SpCas9との性能比較グラフをFig. 5から下図に引用した。
SpartaCas9は、WT SpCas9のオンターゲット編集活性をほぼ維持し、オフターゲット活性を顕著に抑制し、また、eCas9とほぼ同様なオンターゲット活性とオフターゲット抑制を (特に, 低〜中用量で)示し、オンターゲット活性については、遺伝子座への依存性が小さい傾向が見られた。
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