2020-04-25 20:30 項目#5に「肝細胞癌 (HCC)のソラフェニブ 耐性を、miR-486-3pがFGFR4とEGFR介して、制御する」を追記
1. TYLCV誘導性CRISPR/Cas9によりトマトをTYLCV感染から保護
Ferdowsi U Mashhad (マシュハド)の研究グループが、TYLCV感染に応答するプロモーターrgsCaMを同定・利用することで、TYLCVを標的とするCas9-sgRNAの一時的発現を介してオフターゲット作用を抑制しつつトマトをTYLCV感染から保護
[出典] "Virus-induced CRISPR-Cas9 system improved resistance against tomato yellow leaf curl virus" Ghorbani Faal P, Farsi M, Seifi A, Mirshamsi Kakhki A. Mol Biol Rep 2020-04-15.
2. セルラーゼ高生産菌T. reeseiのU6プロモーターを同定・利用してsgRNAのin vivo転写を介したT. reesei遺伝子のCas9によるノックアウトを実現
[出典] "A simple approach to mediate genome editing in the filamentous fungus Trichoderma reesei by CRISPR/Cas9-coupled in vivo gRNA transcription" Wu C [..] Wang W, Ma Y. Biotechnol Lett 2020-04-16.
3. [レビュー] CRISPR/Cas9エピゲノム編集による稀なインプリンティング疾患治療
Figure 1 種々のエピ・エディターとその構成; Figure 2 光誘導性CRISPR/Cas9システム
Figure 3 化学誘導性 エピ・エディター・システム; Table 1 4種類のインプリンティング疾患における変異/エピ変異発生の染色体領域と頻度
Figure 3 化学誘導性 エピ・エディター・システム; Table 1 4種類のインプリンティング疾患における変異/エピ変異発生の染色体領域と頻度
[出典] "CRISPR/Cas9 Epigenome Editing Potential for Rare Imprinting Diseases: A Review" Syding LA, Nickl P, Kasparek P Sedlacek R. Cells 2020-04-16.
[関連レビュー] sgRNA-dCas9とエピゲノム修飾因子によるエピゲノム・エディターによる癌療法の原理と展望 : "Targeting cancer epigenetics with CRISPR-dCAS9: Principles and prospects" Mijanur Rahman M, Tollefsbol TO (U/ Alabama at Birmingham). Methods 2020-04-18. (Table 1 List of effectors targeting transcriptional and epigenetics modulation; Table 2. In vitro effects of sgRNA-dCas9 on different types of cancer.)
4. グリオブラストーマに対して効果的なCAR-T細胞を樹立
EGFRvIIIを標的とするCAR-T (EvCAR-T)細胞のグリオブラストーマに対する抗腫瘍性は限定的であったが、奈良県立医科大学を主とする研究グループが今回、そのPD-1をCRISPR/Cas9にてノックアウトすることで、EvCAR-T細胞が、in vitroにて、EGFRvIII発現グリオブラストーマ細胞の増殖を効果的に阻害することを示した。この時、T細胞のフェノタイプと他の免疫チェックポイント受容体には影響を与えなかった。今後、in vivoでの評価が待たれる。
[出典] "Effect of CRISPR/Cas9-Mediated PD-1-Disrupted Primary Human Third-Generation CAR-T Cells Targeting EGFRvIII on In Vitro Human Glioblastoma Cell Growth" 中澤 務/Nakazawa T et al. Cells 2020-04-16.
5. ゲノムスケールのCRISPRa (SAMスクリーニングにより、肝細胞癌にソラフェニブに対する耐性をもたらす遺伝子を同定
北京大学国際病院の研究グループが、ソラフェニブに耐性を示す高分化型ヒト肝癌由来細胞株HuH-7にエンリッチされている一連のsgRNAの標的遺伝子のスクリーニングと、遺伝子発現プロファイルとから、耐性遺伝子としてLRP8を同定した。さらに、LRP8の過剰発現が、β-カテニンの活性化を介して、ソラフェニブに対する耐性を亢進することを示した。
[出典] "Genome-scale CRISPR activation screening identifies a role of LRP8 in Sorafenib resistance in Hepatocellular carcinoma" Cai J [..] Zhang K. Biochem Biophys Res Commun 2020-04-18.
[2020-04-25追記 20:30] 肝細胞癌 (HCC)のソラフェニブ 耐性を、miR-486-3pがFGFR4とEGFR介して、制御する
浙江大学医学院の研究グループは、miRNAシーケンシングによって, ソラフェニブ耐性HCCでmiR-486-3pが下方制御されていること、miR-486-3pの発現上昇によってHCCのアポトーシスが進行すること、CRISPR-Cas9でmiR-486-3pをノックダウンするとソラフェニブ存在したで細胞死が抑制されること、を見出した。
臨床データも、HCC患者において、腫瘍組織におけるmiR-486-3pのレベルが、隣接する正常組織でのレベルよりも低いことを示していた。
さらに、miR-486-3pの標的がFGFR4とEGFRであること、両者を阻害するとソラフェニブ に対するHCCの感受性が上昇すること、in vitroでのmiR-486-3p過剰発現させるとソラフェニブが効果的になることから、標題の結論に至った。
[出典] "miR-486-3p mediates hepatocellular carcinoma sorafenib resistance by targeting FGFR4 and EGFR" Ji L [..] Xu J, Cai X. Cell Death Dis 2020-04-20.
[2020-04-25追記 20:30] 肝細胞癌 (HCC)のソラフェニブ 耐性を、miR-486-3pがFGFR4とEGFR介して、制御する
浙江大学医学院の研究グループは、miRNAシーケンシングによって, ソラフェニブ耐性HCCでmiR-486-3pが下方制御されていること、miR-486-3pの発現上昇によってHCCのアポトーシスが進行すること、CRISPR-Cas9でmiR-486-3pをノックダウンするとソラフェニブ存在したで細胞死が抑制されること、を見出した。
臨床データも、HCC患者において、腫瘍組織におけるmiR-486-3pのレベルが、隣接する正常組織でのレベルよりも低いことを示していた。
さらに、miR-486-3pの標的がFGFR4とEGFRであること、両者を阻害するとソラフェニブ に対するHCCの感受性が上昇すること、in vitroでのmiR-486-3p過剰発現させるとソラフェニブが効果的になることから、標題の結論に至った。
[出典] "miR-486-3p mediates hepatocellular carcinoma sorafenib resistance by targeting FGFR4 and EGFR" Ji L [..] Xu J, Cai X. Cell Death Dis 2020-04-20.
6. マウス網膜神経節細胞に特異的な遺伝子編集を実現
Stanford U (Med)とIUPUIの研究グループは始めに、マウスin vivoにおけるレポータ遺伝子 (EGFP)発現をみるスクリーニングによって、神経細胞でのAAV送達遺伝子の発現に利用されている一連の各種プロモータの中から、網膜神経節細胞 (Retinal Ganglion Cell, RGC)特異的な遺伝子発現をもたらすmSncgを同定した (内顆粒層では遺伝子発現を誘導せず)。
このmSncgは、hPSCから誘導したヒトRGCs、ヒト初代RGCsおよびヒト幹細胞から誘導したRGCsにおいて、意外にも、hSncgよりも高効率なEGFP発現を実現した。
続いて、マウスin vivo RGCsにて、その活性化がアポトーシスを誘導するDdit3 (転写因子CHOPをコードする遺伝子)と軸索変性を誘導するSarm1とを標的とするAAV-mSneg-CRISPR/Cas9により、細胞体と軸索を保護できることを示した。
[出典] "Mouse gamma-Synuclein Promoter-Mediated Gene Expression and Editing in Mammalian Retinal Ganglion Cells" Wang Q, Zhuang PS [..] Hu Y. J Neurosci 2020-04-09.
コメント