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[出典] "Therapeutic base editing of human hematopoietic stem cells" Zeng J, Wu Y, Ren C [..] Bauer DE. Nat Med 2020-03-16
[引用crisp_bio記事]
[1] crisp_bio 2019-04-05 ヒト造血幹細胞における胎児型ヘモグロビン再誘導によるヘモグロビン異常症療法
[2] CRISPRメモ_2018/07/31 #2.バイスタンダー活性とオフターゲット活性を最小限にとどめたAPOBEC3A-Cas9による1塩基編集(BE)

 鎌状赤血球症 (SCD)とβサラセミアの治療法候補の一つとして、成人では抑制されている胎児型グロビン (HbF) 遺伝子の再発現を誘導する手法が試みられている。
 Daniel E. Bauerが率いるHarvard Medical Schoolを主とする研究グループは、HbFの発現を抑制する転写抑制因子BCL11Aのエンハンサーを赤血球において同定し、ヒト造血幹細胞において、CRISPR-Cas9システムによる二本鎖DNA切断とそのNHEJ修復を介してエンハンサー上のGATA1結合モチーフを破壊することで、分化した赤血球におけるBCL11Aの発現抑制とHbFの再発現を実現していた [先行研究 1]
 研究グループは今回、Cas9に代えて塩基エディターBE3による1塩基変換を介しても、安定したHbF発現を誘導可能なことを実証した。
  • BE3として、シチジンデアミナーゼをラットAPOBEC1からN57Q変異を導入したヒトAPOBEC3A, A3A (N57Q), を利用した [先行研究 2]
  • 標的は、エンハンサー上の+58 BCL11Ahalf E-box/GATA結合モチーフと、Cas9のそれと共通である。しかし、sgRNAの標的プロトスペーサ20塩基列は一部重なるが、始点は(ひいては終点も)異なる [原論文Fig. 1参照; 論文ではsgRNA-1617とsgRNA-1620と表記されている]。
  • 結果、先行研究の3×NLS-SpCas9–sgRNA-1617 RNPに対して、A3A (N57Q)-BE3sgRNA-1620 RNPを、造血幹細胞・前駆細胞 (HSPCs)にエレクトロポレーションし、HbF発現誘導効果を評価した。
  • SCD患者2名から採取したモゾビル(プレリキサホル)で動員した末梢血CD34陽性HSPCsそれぞれについて、2回のエレクトロポレーションにより、91.2%と86.3%の編集効率を得、HbF発現の比率が5.0%と6.4%から32.3%と27.9%へと向上し、鎌状化も抑制された。
  • βサラセミア患者2名 (ジェノタイプ:β0β+; β0βE)については、非動員末梢血CD34陽性HSPCsにおいて、A3A (N57Q)-BE3によるシトシン置換率93.3%と90.6%を達成し、HbFの誘導を実現し、また、脱核の効率が高く、サイズがより大きく、球状の赤血球系細胞を得た。
  • βサラセミア患者由来HSPCsにおいてはまた、BCL11Aの赤血球系エンハンサーのA3A (N57Q)-BE3編集と、HBBのプロモーターへの変異 (-28A/G)修復との二重塩基エディティングを実現し [A >G変異 (相補鎖上のT > C)変異の修復]、その相乗作用を確認した。すなわち、それぞれ単独に編集するよりも、より高いβグロビン発現と共により高いγグロビン発現が実現し、赤血球フェノタイプの改善度も向上した。
  • さらに、HbF抑制を特徴とするNBSGWマウスにA3A (N57Q)-BE3編集HSPCsを導入し、骨髄移植を経て、1次移植および2次移植マウスにおいて、ヒトHbFの発現がin vivoで安定して誘導されることを確認した。
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