[出典] "Efficient Generation and Correction of Mutations in Human iPS Cells Utilizing mRNAs of CRISPR Base Editors and Prime Editors" Sürün D [..] Buchholz F. Genes 2020-05-06. [参考: PE関連crisp_bio記事] crisp_bio 2019-10-22 David R. Liuグループからプライムなゲノム編集法 - BEsに続くPEs; crisp_bio 2020-05-08 プライムエディティング (PE)に必要なpegRNA/ngRNAの設計を支援するソフトウエア"PrimeDesign"
Medical Faculty and University Hospital Carl Gustav Carusを主とする研究グループが、BEとPEのmRNAにそれぞれ化学合成したsgRNAsとpegRNAsを組合わせることで、ヒトiPSCs遺伝子における病因変異の修復と、ヒトiPSCs遺伝子への病因変異導入を実現した。
Medical Faculty and University Hospital Carl Gustav Carusを主とする研究グループが、BEとPEのmRNAにそれぞれ化学合成したsgRNAsとpegRNAsを組合わせることで、ヒトiPSCs遺伝子における病因変異の修復と、ヒトiPSCs遺伝子への病因変異導入を実現した。
- 対照実験としてCRISPR Cas9 HDRを介して、神経系疾患であるエカルディ‐グティエール症候群の病因変異の一種であるナンセンス変異 (SAMHD1遺伝子変異c.1642C > T; p.Q548*)の修復を、患者由来iPSCsにおいて試みたが、成功に至らなかった。
- BEをmRNAの形で導入した場合の編集をHEK293T細胞で検証し、また、遺伝子導入実験条件の最適化を行った。
- BEとPEのレンチウイルスベクターをNucleofectionで導入した。
- BEとPEをmRNAの形式で送達することで、恒常的活性回避を介してオフターゲット編集を回避し、また、DNAでのデリバリーに対してヒト細胞ゲノムへの組込みリスクも回避した。
- CRISPR/Cas9ヌクレアーゼを介した遺伝子編集では不可能であった患者由来のiPSCにおける病因変異の修復 (本記事冒頭の段落を参照)を、ABEを利用することで、バイスタンダー変換やindelsを伴うこと無く、19% (21クローン中4クローン)の効率で実現した。
- ABEとCBEを利用して、ヒトiPSCsのTP53遺伝子に癌で高頻度にみられる9種類の点変異を誘導し、同質遺伝子系での変異機能解析を可能とするモデル細胞パネル形成に至った。この際に、同一sgRNAについて、効率も精度もABEがCBEに優ることを見出した。さらに、ABEで変異を導入した細胞 (p.C141R, p.Y163H, および p.H193R)が、MDM2特異的阻害剤Nutlin3aに対して耐性を獲得し、中でも、p.Y163H変異が他の変異よりも強い耐性をもたらすことも見出した [Figure 5引用下図参照]。
- さらに、PE mRNA, sgRNAおよびpegRNAを導入することによる塩基置換を、p.Y66W変異導入を介したGFP-to-BFP変換を指標として、HEK293T-EGFP細胞とAAVS1‐eGFP iPSCで検証し、効率がそれぞれ6%と7.5%まで達することを見出した。また、ABEによる編集結果をシーケンシング解析したところ、想定どおり、TACコドンがTGGコドンに変換されていた [Figure 6引用下図 A, B, E参照]。
だたし、編集効率は、pegRNAs上のprimer binding site (PBS)の長さと細胞の種類に依存した。PBSが短いほど効率が上がり (6.5% at 11-nt vs 0.3 % at 15-nt) [Figure 6引用上図 C, D 参照]、同じpegRNAsでの編集効率を比較するとiPSCでの効率がHEK293T細胞での効率の2.5倍 (4.4% vs 1.7%)に達した。
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