crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

4. 内在CRISPR/Cas9アレイを利用して、スケーラブルな細胞系譜追跡を実現
 GESTALT法を始めとして、合成CRISPRアレイを導入し、発生過程のイベントを記録していく手法が多々開発されてきた。また、ヒト細胞とゼブラフィッシュにおいて、合成CRISPRアレイを使わずに内在配列に記録して行く手法も開発されてきた [*]
 Barcelona Institute of Science and Technologyの研究グループは今回、CRISPR-Cas9によりイベントを記録してくことが可能なCRISPRアレイを探索し、ゼブラフィッシュ、マウスおよびヒトのゲノムに候補CRISPRアレイが存在することを発見し、ゼブラフィッシュにおいて、一細胞期胚からの細胞系譜追跡が可能なことを実証した。
[出典] "Endogenous CRISPR/Cas9 arrays for scalable whole-organism lineage tracing" Cotterell J, Vila-Cejudo M, Batlle-Morera L, Sharpe J. Development 2020-05-12

[*] CRISPR技術による細胞系譜追跡に関するcrisp_bio記事
5. [レビュー] がん免疫療法 (immune-oncology: IO)の標的発見を可能にするCRISPRスクリーン技術
 徐州医科大学の研究グループによるレビュー: スクリーン戦略 [癌細胞を対象とするone cell type (1CT), 癌細胞と免疫細胞の共培養によるtwo cell type (2CT), in vivoスクリーン (ヒト癌移植モデル動物または癌をドライブする遺伝子変異導入モデル動物にて), IOに重要な遺伝子変異スクリーン (CRISPR/Cas9、塩基エディター(BE)およびPrime Editing (PE)の利用), 多重遺伝子を標的とするスクリーン, ノンコーディングRNA/DNAスクリーン; T細胞を標的とするスクリーン (マウス初代T細胞, ヒト初代T細胞; CAR-T細胞, 腫瘍オルガノイドの利用; T細胞以外の免疫細胞を標的とするスクリーン (樹状細胞, マクロファージ; B細胞; 今後の展望
[出典] "Potential of CRISPR screen in target discovery for cancer immunotherapy" Liu D [..] Zheng J, Shi M. Biochim Biophys Acta Rev Cancer 2020-05-12. 

6. BMP2遺伝子とNogを標的とするCRISPRiシステムをハイブリッドバキュロウイルスでデリバリーすることで、骨形成と頭蓋骨修復を実現
 BMP2遺伝子の発現は骨形成を促進するが、同時に、その発現を抑制するアンタゴニストであるNogginの発現も促す。國立清華大學 (台湾)の研究グループは標題の手法で、BMP2発現に誘導されるNogginの発現をCRISPRiで抑制することで、ヒト脂肪由来幹細胞 (adipose-derived stem cells: ASC)からの骨分化を14週間維持可能なことを示した。また、CRISPRi処理をしたASCを移植することで、頭蓋冠の修復が可能なことも示した。
[出典] "CRISPR interference-mediated noggin knockdown promotes BMP2-induced osteogenesis and calvarial bone healing" Hsu MN, Yu FJ, Chang YH [..] Hu YC. Biomaterials. 2020-05-10

7. CRISPR/Cas9遺伝子編集により先天性脊椎‐骨端骨異形成症変異を帯びたiPSC樹立
[出典] "Generation of a heterozygous COL2A1 (p.R989C) spondyloepiphyseal dysplasia congenita mutation iPSC line, MCRIi001-B, using CRISPR/Cas9 gene editing" Lilianty J [..] Lamandé SR. Stem Cell Research 2020-05-11.

8.  ヒト腸マイクロバイオーム由来のビフィドバクテリウムにおけるCRISPR-Casシステムを網羅的に同定・解析
 North Carolina State UのR. Barrangouらが、954種類のビフィドバクテリウムゲノムを解析し、その57%にCRISPR-Casシステムが存在することを見出した。 タイプは I-E, I-C, I-G, II-AおよびII-Cの5種類であり、タイプI-Cが、最も多量で23%を占めた。また、crRNA, tracrRNAおよびPAM配列を分析し、CRISPRアレイのスペーサによる進化系統解析も行った。
[出典] "Comprehensive Mining and Characterization of CRISPR-Cas Systems in Bifidobacterium" Pan M, Nethery MA, Hidalgo-Cantabrana C, Barrangou R. Microorganisms 2020-05-12. 

9. GeneSprout: 植物育種技術 ( New Plant Breeding Techniques: NPBT)の普及を目指すイニシアティブ
 Ghent U, Wageningen Uなどベルギーとオランダの研究グループが、植物科学の若手と一般へのNPBTの普及を目指すGeneSproutイニシアティブを立ち上げた。
[出典] "Give CRISPR a Chance: the GeneSprout Initiative" Vangheluwe N [..] Boer D. Trends Plant Sci 2020-05-10
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