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[出典] "Cross-neutralization of SARS-CoV-2 by a human monoclonal SARS-CoV antibody" Pinto D, Park YJ, Walls AC [..] Veesler D, Corti D. Nature 2020-03-18: [構造情報] 6WPS (closed SARS-CoV-2 S in complex with S309); 6WPT (SARS-CoV-2 S with one SB open in complex with S309); 6WS6 (S309 Fab: Structure of the SARS-CoV-2 spike glycoprotein in complex with the S309 neutralizing antibody Fab fragment) 

 Humabs Biomed SA, UW Seattle, Institut Pasteurなどのスイス・米・仏の研究グループからの報告
  • SARS-CoV-1 (2003年のSARS-CoV)感染から回復した患者のメモリーB細胞から分離したモノクローナル抗体25種類の中から、SARS-CoV-2とSARS-CoV-1の受容体結合ドメイン (RBD)にナノモルレベルからサブピコモルレベルの結合親和性で結合する4種類 (S303, S304, S309およびS315)を特定した。
  • その中で、S309IgGが、固定したSARS-CoV-2のSタンパク質のRBDと外部ドメイン三量体に対して、それぞれサブプコモルレベルとピコモルレベルの結合活性を示し、S309 Fabが双方に対して、ナノモルレベルからサブナノモルレベルの結合親和性を示した。
  • S309はまた、SARS-CoV-2とSARS-CoV-1のマウス白血病シュードタイプウイルス (生化学, 2017)に対して同程度の中和活性を発揮し、SARS-CoV-2 (2019n-CoV/USA_WA1/2020)に対しても、中和活性 (IC50値 79 ng/ml)を示した。
  • クライオ電顕法と結合親和性アッセイにより、S309のエピトープが、SARS-CoV-1とSARS-CoV-2が属するベータコロナウイルス属のSarbecovirus亜属内で保存されている N343-グリカン含有 (SARS-COV-1ではN330)エピトープであることを同定した。
  • さらに、S309と異なる抗原部位に結合するS315またはS304の中和活性は低いが、S309と組み合わせることで相乗効果が現れることを同定した。
 今回同定した中和抗体S309、および、S309を含む抗体カクテルは、中和抗体逃避変異の生成を抑制し、また、SARS-CoV-2に曝露されるリスクが高い医療従事者などへの予防措置や暴露後の重症化を抑制する可能性を帯びている。

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