[出典] "Prediction of synonymous corrections by the BE-FF computational tool expands the targeting scope of base editing" Rabinowitz R, Abadi S, Almog S, Offen D. Nucleic Acids Res 2020-04-07

背景
  • 塩基エディター, CBEとABE, によって4種類のトランジッション塩基置換全てが可能になった [CBE  C -to- T (G -to- A); ABE A -to- G (T -to- C)]
  • これまでのCBEには、効率向上に加えて、DNAとRNAのオフターゲット置換抑制、バイスタンダー塩基置換 (ウインドウ内での標的以外のCの置換)の抑制、ウインドウ幅を狭めることによる精度向上と、ウインドウ幅を広げることでの標的可能領域の拡大などが試みられ、相当数のバリエーションが生まれてきた。
  • 病因変異の58%が点変異 (SNV)であり、CBEで修復可能な病因SNVはその61%であったが、BEに続くPEによって、挿入、欠失、トランジッション塩基置換に加えて8種類のトランスバージョン塩基置換が全て可能になり、病因SNV修復も前進した。しかし、PEはCBEに比べると複雑なコンストラクトであり、効率や可用性の向上が必要である。
  • [CBEのオフターゲット関連crisp_bio記事] 2020-05-26 CBEのオンターゲット活性を維持しつつDNAとRNAに対するオフターゲット編集を抑制; 2020-02-05 BE3の高精度化 (2) - 標的可能領域拡大と位置特異性付加 - バイスタンダー編集活性に言及
成果概要
  • Tel Aviv Universityの研究チームは今回、タンパク質コーディング領域における塩基置換を対象とするBE-FF (Base Editors Functional Finder) を開発し、Base Editors Finding ToolとしてWebサイトhttps://www.danioffenlab.com/be-ffから公開した。
     また、BE-FFによる解析に基づいて構築した「標的のSNVの修復に利用可能なCBEを検索可能なデータベース」BE-FF DBも同じWebサイトから公開した [一覧表のスクリーンショットが用意されている: http://danioffenlab.pythonanywhere.com/screenshot/]。
  • BE-FFは、これまでのCBEにアミノ酸翻訳・解析機能を加えることで、標的領域 (ウインドウ)内での目的外のバイスタンダー塩基置換の問題を、同義置換 を介して [*] アミノ酸配列上で解消可能なことを実証し、また、これまでのCBEによる塩基置換では実現できなかった種類のアミノ酸置換が可能なことを実証した。これによって、コンテクストに依存はところはあるが、I>M, L>F, R>G, R>W and R>*のトランスバージョン塩基置換も実現した [Figure. 1から引用した下図と[*]参照]BE-FF Figure 1
  • [*] * 6塩基のウインド内2ヶ所のCが同時に置換された場合:ACTCTA [Thr,Leu] to ATTTTA [Ile, Leu] ; Thr-to-Ileを目的とする1番目のCを標的とするCBEで、本来の標的ではない2番目のCもTに変換されたとしても、アミノ酸レベルに変異をもたらさない。
  • ABEも含むBase Editorsの塩基置換、PAMからの距離に依存する塩基置換サイト (主/majorと副/minor)の位置、PAM配列ならびに参考文献が網羅されているTable 1を左下図に引用
    Table 1. BEs repository Table 2. Base editing tools comparative table
  • Table 2にBE-FFとBE-DesignerbeditorBenchlingならびにBEable-GPSとの比較表が用意されている(右上図に引用)
[参考] 2020-01-14 CBEとABEの一体化を実現、イネ遺伝子のC-to-T & A-to-G同時変換、標的飽和突然変異誘発と指向的進化に応用