6. 神経細胞において、遺伝子発現をCRISPRiに拠ってノックアウトに近いレベルまで抑制
[出典] "An improved CRISPR/dCas9 interference tool for neuronal gene suppression" Duke CG [..] Day JJ. bioRxiv 2020-05-27.
University of Alabama at Birminghamの研究グループは、先行研究で、神経細胞特異的プロモーターであるヒト・シナプシン 1 プロモーターと、2本のレンチウイルスベクターでsgRNAとdCas9をデリバリすることで、CRISPRa (dCas9-VPR)による遺伝子発現活性化を実現していた [参考 1]。
今回は、dCas9-KRAB-MeCP2 [参考 2]に基づくCRISPRiが、shRNAによるよりも、効果的かつ精密に遺伝子発現を抑制することを、ラット初代神経培養細胞と初代海馬培養細胞において、示した [例: 後者では脳由来神経栄養因子のBdnf I とBdnf IV の発現をそれぞれ98%と92%抑制]。
今回は、dCas9-KRAB-MeCP2 [参考 2]に基づくCRISPRiが、shRNAによるよりも、効果的かつ精密に遺伝子発現を抑制することを、ラット初代神経培養細胞と初代海馬培養細胞において、示した [例: 後者では脳由来神経栄養因子のBdnf I とBdnf IV の発現をそれぞれ98%と92%抑制]。
[参考 1] crisp_bio 2019-02-28 神経細胞における効率的かつ選択的遺伝子発現活性化
[参考 2] crisp_bio 2018-07-19 CRISPRメモ_2018/07/19 [第1項] CRISPRiの性能向上
7. CRISPR-Cas9 RNP (cRNP)によるマウスの成熟初代自然免疫細胞のゲノム編集
[出典] "CRISPR-Cas9 Ribonucleoprotein-Mediated Genomic Editing in Mature Primary Innate Immune Cells" Riggan L [..] O’Sullivan TE. Cell Rep 2020-05-19.
[出典] "CRISPR-Cas9 Ribonucleoprotein-Mediated Genomic Editing in Mature Primary Innate Immune Cells" Riggan L [..] O’Sullivan TE. Cell Rep 2020-05-19.
Neonエレクトロポレーションシステムの設定を最適化した上で、cRNPを介したマウス成熟自然リンパ球 (ILCs)とミエロイド系細胞において、1重または2重の標的遺伝子のほぼノックダウンを実現した。
次いで、マウスin vivoにて、cRNPで遺伝子編集を加えたナイーブNK細胞と骨髄由来通常型樹状細胞前駆細胞 (conventional dendritic cell precursors; cDCPs)を利用することで、マウス・サイトメガロウイルス感染時の遺伝子機能解析を実現した (Stat4; MyD88)。
次いで、マウスin vivoにて、cRNPで遺伝子編集を加えたナイーブNK細胞と骨髄由来通常型樹状細胞前駆細胞 (conventional dendritic cell precursors; cDCPs)を利用することで、マウス・サイトメガロウイルス感染時の遺伝子機能解析を実現した (Stat4; MyD88)。
8. CRISPR/Cas9によるストレス応答タンパク質RLIPのノックダウンが、乳癌細胞の増殖をin vitro/in vivoで抑制
[出典] "Targeting RLIP with CRISPR/Cas9 controls tumor growth" Singhal J [..] Singhal SS (City of Hope Comprehensive Cancer Center and National Medical Centerを主とする研究グループ). Carcinogenesis 2020-05-19.
9. 前核へのマイクロインジェクションをS期に設定することで、CRISPR-Cas9による大規模 (~ kb)ノックイン効率を向上
[出典] "Pronuclear Microinjection during S-Phase Increases the Efficiency of CRISPR-Cas9-Assisted Knockin of Large DNA Donors in Mouse Zygotes" Abe T, Inoue K, Furuta Y, Kiyonari H. Cell Rep 2020-05-19.
RIKEN (神戸)の研究グループは、crRNA, tracrRNA, およびCas9タンパク質をS期の前核へデリバリーすることで、ノックイン効率70%までを達成し、また、前核の双方に順次デリバリーすることで、両アレルノックインも容易に実現可能なことを示した。
10. バクテリオファージをCRISPR-Cas9遺伝子カセット (~7620 bp)の担体とする
[出典] "Initial Steps for the Development of a Phage-Mediated Gene Replacement Therapy Using CRISPR-Cas9 Technology" Zhou JY, Suwan K, Hajitou A. J Clin Med 2020-05-16.
[出典] "Initial Steps for the Development of a Phage-Mediated Gene Replacement Therapy Using CRISPR-Cas9 Technology" Zhou JY, Suwan K, Hajitou A. J Clin Med 2020-05-16.
M13バクテリオファージをもとにして腫瘍を標的とするRGD4Cバクテリオファージを設計し、それによってgRNA-cas9を肺腺癌細胞に送達し、Cas9の発現、さらに、TP53を標的とするgRNAを介してp53タンパク質ノックアウトを実現した。
11. Cas12a/crRNA RNPをDNA nanoclews (DNA NCc)を担体としてデリバリーすることで、マウスにて血清コレステロールの調節を実現
[出典] "CRISPR-Cas12a delivery by DNA-mediated bioresponsive editing for cholesterol regulation" Sun W [..] Gu Z. Sci Adv 2020-05-20.
UCLA/U North Carolina at Chapel Hill & North Carolina State Uの研究グループがローリングサークル増幅法から自己組織化するDNA nanoclewsにcrRNAを介してCas12a/crRNAを'編み込み'、PEIで被覆し、表面電荷を正電荷から負電荷に転換するポリマーで被覆することで、Cas12a/crRNA/NC/PEI/Gal-PEI-DM [Fig. 1引用下図参照]のRNPナノ粒子によるゲノム編集を実現した。
このRNPナノ粒子は、負電荷ポリマー層とPEI層を介して細胞内へ取り込まれ、PEIを介してエンドソームを脱出し、細胞内の酸性環境で分解し、RNPが放出される。Pcsk9を標的とするRNPナノ粒子をマウス尾静脈に注入することでマウスin vivoにてPcsk9 を~48%破壊し、コレステロールを~45%低減した。

このRNPナノ粒子は、負電荷ポリマー層とPEI層を介して細胞内へ取り込まれ、PEIを介してエンドソームを脱出し、細胞内の酸性環境で分解し、RNPが放出される。Pcsk9を標的とするRNPナノ粒子をマウス尾静脈に注入することでマウスin vivoにてPcsk9 を~48%破壊し、コレステロールを~45%低減した。
12. Cas12aのトランスDNA切断活性 (コラテラル活性)によるDam MTase活性を検出する超高感度バイオセンサーを開発
[出典] "Terminal deoxynucleotidyl transferase induced activators to unlock the trans-cleavage of CRISPR/Cpf 1 (TdT-IU- CRISPR/Cpf1): An ultrasensitive biosensor for Dam MTase activity detection" Chen X [..] Hou C. Biosensors & bioelectronics 2020-05-19.
重慶大学の研究グループがCas12aが核酸以外の分子, Dam MTase (DNAアデニンメチル化・メチル基転移酵素)の超高感度バイオセンサーとして利用可能なことを示した。
Dam MTaseは、遺伝子発現、細胞成長、また、腫瘍発生にも関与することが知られているが、これまでの検出法は高コスト、検出限界、複雑な操作という難点が伴っていた。このバイオセンサーは、末端デオキシヌクレオチド転移酵素 (TdT)誘導性活性化因子を介して、Cas12a (Cpf1)のコラテラル活性を解放することで実現され [TdT-IU-CRISPR/Cas12a]、検出限界は1.26 × 10−3 U/mLに達した。
Dam MTaseは、遺伝子発現、細胞成長、また、腫瘍発生にも関与することが知られているが、これまでの検出法は高コスト、検出限界、複雑な操作という難点が伴っていた。このバイオセンサーは、末端デオキシヌクレオチド転移酵素 (TdT)誘導性活性化因子を介して、Cas12a (Cpf1)のコラテラル活性を解放することで実現され [TdT-IU-CRISPR/Cas12a]、検出限界は1.26 × 10−3 U/mLに達した。
[Cas12aのコラテラル活性を利用したバイオセンサー関連 crisp_bio記事]
- crisp_bio 2020-02-05 CRISPR/Cas12aのコラテラルssRNA切断活性に基づく結核菌群の高感度検出法
- crisp_bio 2019-08-15 CRISPR-Cas12aを介して多彩な低分子を高感度で検出
- crisp_bio 2019-08-16 Cas12aを介して核酸と抗体の超高感度検出を実現
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