crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 [出典] "Detection of Deleterious On-Target Effects after HDR-Mediated CRISPR Editing" Weisheit I [..] Paquet D. Cell Rep 2020-05-26.

 CRISPRゲノム編集はトランスレーショナルリサーチに有望なツールであるが、標的遺伝子座 (オンターゲット)にも、標的以外の遺伝子座 (オフターゲット)にも望ましくない編集結果を残す [*]LMU Munichの研究グループは今回、ヒトiPSCにおいて、HDRを介した疾患関連変異導入およびNHEJを介した遺伝子編集に伴う望ましくないオンターゲット作用 (on-target effects: OnTEs)を分析した。
[* 
2018-07-17 CRISPR-Cas9が誘導するDSBの修復は、ゲノムの大規模な削除と複雑な再編に至る]
  • オンターゲットでの大規模な挿入欠失は、通常行われている標的遺伝子座を含む数100ベースの領域のPCRとサンガーシーケンスによるジェノタイピングでは検出できない [Figure 1 A参照]。そこでこれまでは、プライマーウォーキング、PacBioその他のディープシーケンシング、あるいはddPCRによる評価が行われてきたが [例*]、いずれの手法も装置を含めて高コストであり、手間がかかり、訓練も必要である。
  • 研究グループは今回、シンプル、低コスト、および、適用範囲が広い定量的ジェノタイピングPCR (qgPCR)法、ならびに、サンガーシーケンシングとマイクロアレーを組合わせたSNPジェノタイピング法とを開発した [Graphical Abstract下段の模式図と、Figure 4のワークフロー参照]。
  • その結果、HDR過程を介した遺伝子編集の場合に、編集が進行したクローンの18-40%に単一アレルにおける大規模な欠損または挿入が発生し、8-40%にコピー数変化を伴わないヘテロ接合消失が発生することを見出した [Graphical Abstract の上段と中段参照, ただし、数値は欠失の割合]。
  • また、前者のOnTEsがアルツハイマー病iPSCから分化した皮質ニューロンに、本来の病因変異に由来しない異常な表現型をもたらすことも見出した。
  • さらに、qgPCR法を利用することで、NHEJを介したCRISPR編集から得れれた見かけ上ホモ接合型クローンの50%までに、HDRの場合と同様に、オンターゲット領域の単一アレルに大規模な欠損が発生していたことを同定した。
 研究グループは、CRISPR-Cas9ゲノム編集技術に基づくスクリーニングや疾患モデル作出にあたっては、Figure 4のワークフローでの検証が必須とした。

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