[出典] "Improving the safety of human pluripotent stem cell therapies using genome-edited orthogonal safeguards" Martin RM [..] Porteus MH, Loh KM. Nat Commun 2020-06-01

 前臨床モデルに移植したhPSC由来の細胞集団には、未分化hPSCsに由来するテラトーマ発生と想定外の組織への分化のリスクが伴い、さらには、低免疫原性化に伴うリスクが指摘されてきた。研究グループはこれらのリスクをもたらす細胞群を、低分子を介して細胞死に誘導することで排除する手法を開発した[Fig. 1引用下図参照]。
hPSC
  • 多能性を担うNANOG遺伝子に低分子AP20187を介したCaspase9活性化と細胞死を誘導する iCaspase9カセットをノックインし、未分化hPSCsを除去。
  • 恒常的に発現するACTB [BETA-ACTIN]遺伝子に、低分子AP21967を介してCaspase9活性を発揮するカセットOiCaspase9をノックインし、hPSC由来細胞を全て除去。
  • 恒常的に発現するACTB遺伝子に、抗ウイルス薬ガンシクロビルをDNA合成阻害活性を帯びた細胞毒性分子へ変換する単純ヘルペスウイルス1型―チミジンキナーゼ(HSV-TK)遺伝子をノックインし、hPSC由来分裂細胞を除去。