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[出典] "Transcription factors underlying wing margin color patterns and pupal cuticle markings in butterflies" Reed RD, Selegue JE, Zhang L, Brunetti CR. EvoDevo 2020-05-27.

 蝶の翅の色と模様は極めて多彩に見えるが、グラウンドプランと呼ばれるデザイン原理が存在し、鱗翅目にわたって相同な比較的少数のパターン要素の組合せに依存する [1]。近年、CRISPR-Casゲノム編集技術の普及もあって、このグラウンドプランの遺伝的背景が徐々に明らかにされ、2017年には「蝶の翅の美しさは2つの遺伝子に依存する」とする報告 [2]も出された。

 カナダTrent Universityの研究チームは今回、タテハチョウ科の2種類の蝶の翅の色模様の構造基盤の同定に取り組んだ。
[注] 以下、蝶の翅に関する用語の一部は英文のまま引用
 研究グループは、4種類の候補転写因子、Engrailed/Invected (En/Inv), Distal-less (Dll), Cubitus interruptus (Ci)およびspalt、に注目し、アメリカタテハモドキ (Junonia coenia) とジャノメチョウ (Bicyclus anynana)について、wing cuticle markingとwing margin color matternsの遺伝基盤の解明を試みた。
  • J. coenia終齢幼虫の前翅disc上でのEn/Inv, Dll, およびCiの発現が、cuticle markingの位置と形状に対応していた (Fig. 1とFig. 2引用左下図と右下図参照)。
    2020-06-12 20.11.44 2020-06-12 20.12.11
  • J. coeniaB. anynanaにおいて、 spaltが、wing margin colorパターンを決定していた。また J. coeniaにおいて、CRISPR/Cas9によりSpaltをノックアウトすると、wing margin colorパターンが減少あるいは消失した。
  • spaltはこれまで眼状紋のパターン形成に寄与するとされてきたが、加えて、wing margin colorパターンの形成にも関与することが示唆された。
 今回の分析結果から、翅の色模様パターンを制御する調節遺伝子のコア・セットは、パターン形成時に複数回、異なる働きをすることが示された。

[関連解説およびcrisp_bio記事]
  1. 鈴木誉保「蝶や蛾の翅模様のグラウンドプランと多様性」蚕糸・昆虫バイオテック 87(2):109-116 (2018).
  2. 2017-09-19 蝶の翅の美しさは2つの遺伝子に依存する 
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