[出典] "CRISPR-mediated activation of biosynthetic gene clusters for bioactive molecule discovery in filamentous fungi" Roux I, Woodcraft C, Hu J, Wolters R, Gilchrist CLM, Chooi YH.  (bioRxiv. 2020-01-14) ACS Synth Biol 2020-06-11
[crisp_bio注] 本研究はbioRxiv投稿文に準じて「CRISPRメモ_2020/01/17 [第2項] CRISPRaによる生合成遺伝子クラスタの活性化を介して糸状菌から生理活性分子を発見する」にて取り上げたが、今回、テキストを改訂し、参考文献を追加した。

 University of Western Australiaの研究グループは今回、一般的な培養条件では発現レベルが低いために簡単ではなかった糸状菌BGCsの解析研究を、CRISPRaによって促進可能なことを示した。
  • はじめに、Aspergillus nidulansにおいてdLbCas12a-VPRによる蛍光レポータの活性化を確認した。
  • 次に、 A. nidulansの染色体上およびエピソーム上の非リボソームペプチド合成酵素様 (nonribosomal peptide synthetase-like, NRPS-like)遺伝子micA (Microperfuranone synthase)の発現を活性化し、化合物ミクロペルフラノンの産生増を実現した。
  • 続いて、多重化CRISPRaにより未知の二次代謝産物の同定とBCG経路の推定も可能なことを示した。
     遺伝子micAが属するBGCの最終産物は特定されておらず、このmicクラスタは、それぞれmicBmicCと称されるシトクロムP450想定遺伝子と機能不明の遺伝子で構成されとされていたが、micパスウエイ特異的転写因子も不明であった。研究グループは、2遺伝子または3遺伝子を同時に標的する多重化CRISPRaとLC-DAD-MS解析から、micクラスタからの新たな産物, dehydromicroperfuranone, を同定し、
    フェニルピルビン酸- [micA] - ミクロペルフラノン - [micB] - 新たな産物
    の生合成経路を推定するに至った。
  • 加えて、LbCas12a変異体 [*]の一種であるLbCas12a (D156R)が、TTCN PAM近接領域に対してLbCas12aを凌ぐ活性を示し、また、LbCas12aがほとんど活性を示さない比較的低い温度 (~25℃)で活性を示した [LbCas12aの標準PAM配列はTTTV]。
  [*] Cas12a変異体関連論文